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autolink GC/S16-034 カード名:寒川 潤 カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0◆ パワー:1500 ソウル:1 特徴:《特徴なし》? 【自】このカードがアタックした時、あなたは自分のキャラを1枚選び、そのターン中、レベルを+1し、パワーを+500。 【自】◆シフト レベル0(あなたのメインフェイズの始めに、あなたは自分の手札の緑のカードを1枚とクロック置場のこのカードを選び、入れ替えてよい) 集さん。僕を殺してください レアリティ:U illust. レベルとパワーパンプができ、シフト持ちなので軽くサポートする分には便利なキャラ。 決断の時 集と組み合わせたりすると更に強力。 しかし《葬儀社》?ではないので何かと勝手が悪い部分もある点には注意。
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雨杜 潤(あまもりじゅん)はライトノベル作法研究所の利用者。投稿者・感想人・チャット利用者。ラ研第1世代実力者??の一人である。 肖像画(AA) ( ̄^ ̄)( ̄Д ̄*) 人物像 チャットでは単なる歴史オタクだが、作中で専門知識を惜しみなく披露しており、個性的な武器となっている。王道を魅せる技術に長けており、丁寧な世界観に読者を惹き込む。企画では非常に見つけ易い特徴的な作者の一人となっている。 歳の離れた妹三女たんをこよなく愛する。挨拶は「ぐーてんもるげん」、口癖は「三女たんは渡しません!」。 GW企画で二作品投稿し、ワンツーフィニッシュを決めて圧倒的実力を示した。短編とコメディが死ぬほど苦手らしい。 以前から描写に定評があったものの、約二年のスランプ(※チャットでは「ニコニコ動画にハマって執筆どころではなかった」と話している)脱出後は更にレベルアップし、高得点連発や企画優勝を果たした。秋の夜長の小説企画ではステルスゼロ状態で一番槍特攻を敢行し、歴代企画初の一番槍総合優勝を獲得すると思われたが、運営たちばなに阻止される。 6度の高得点を記録し、そのうち5作品は2009年に発表された。 チャット利用者として チャットでは基本的に弄られキャラであり、呼称も「雨漏り」「雨さん」の他に「漢」「じゅんじゅん★」「三女たんのお姉さん」などがある。 また、GW企画以降は「イヌ」と呼ばれることも多い。自称「永遠の女子高生」。 盗作被害 雨杜 潤は2006年、個人HPに掲載していた短編小説『眠り姫は...』の盗作被害にあった。 参考URL:http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-39.html 盗作事件の内容は、タイトルの『眠り姫は...』が『眠り姫は眠らない』へと改題され『裕也』が『ヒロヨシ』と改名され、他にも台詞や改行が微妙に変えられた状態で他HPに掲載された悪質なものである。 この盗作事件に対して雨杜 潤は 「やっぱり、みつけるとちょっとばかし、 いや、かなーりムカムカムカムカッとクるものでして。 菩薩や仏陀の心など世界の隅に追いやって、 アガペー(隣人愛)のアの字も忘れる勢いで、 アッラーへの絶対服従なんてほっぽり出して、 殺ってやるモードになってしまいました(お前、何教だよ) 1%の理性と99%の面倒くささがなかったら、 今頃獄中だったかもしれませんね(マテ」 と、怒りを包み隠さない、自分の感情に正直なコメントを残していることから、雨杜 潤は盗作という行為に対して大きな嫌悪感を感じていたようだ。 その証拠に2007年に行われた「参考URL:http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-285.html」の「物書きに捧ぐ質問攻めバトン」において 18、盗作についてどう思いますか? …………最低ですね(真顔 と、真顔でコメントしている。 自作自演 2009年11月末にうっぴーが実施した交流用掲示板IP開示において、当人物による自作自演行為が判明した。 この事件において雨杜 潤は、自分の作品に対する高得点入り報告を「おめでとうございます。特にたちばなさんは二度目の企画優勝、雨杜さんは6度目の高得点ですね。更なるご活躍を期待しております」という文面で行ない、その書き込みに対して「このたびは拙作に勿体無い評価を頂き、大変恐縮でございます。「熱月に天使は微笑む」の作者、雨杜 潤です」と、自分で書いた報告に自分で返信する一人芝居の醜態を晒した。 交流掲示板における高得点入り報告自体には問題ないが「雨杜さんは6度目の高得点ですね」など、悪意は薄いが痛々しい自画自賛を感じさせる文章が2ちゃんねらーの嘲笑対象となった事件である。 この時の某所の反応は交流用掲示板IP開示にて詳細を確認できるが、該当ページには雨杜 潤に対して好意的に誘導しようとした者による編集の痕跡がある(差分にて現在でも確認可能)。 なお、当wikiにおける雨杜 潤のページには元々「自作自演行為の記録」が記されていたが、何者かにより自作自演の項目が削除されたことがある。 ggrks事件 2010/05/27 雨杜 潤ことアマモリィヌが、チャットに同席していた竜樹に対し、捨てハンで「ggrks(ググレカス)」と暴言を吐いたことが某所にて晒された。 +記録 アマモリィヌ |^ ̄)カンタレラとか言い出すのは厨ですか、そうですか(ぁ (アマモリィヌさんが入室しました) 21 51 24 アマモリィヌ |^ ̄)砒素系が一番無難でメジャーですよね(何 (アマモリィヌさんが退室しました) 21 51 47 竜樹 青酸カリは即効性とよく聞きますがあれってふれたらただれるってことですか>毒 21 55 25 ggrks 青酸カリくらい自分で調べて良いんじゃないですか? (ggrksさんが入室しました) 22 01 47 ggrks (ggrksさんが退室しました) 22 01 51 この時のIPアドレスは FLH1Aai021.ehm.mesh.ad.jp=アマモリィヌ FLH1Aai021.ehm.mesh.ad.jp=ggrks であり、IPの一致から雨杜 潤が捨てハンで竜樹に対して暴言を吐いたことが確定した。 なぜ雨杜 潤がこのような暴言を述べたのか理由は不明であるが、事件当日のチャットにおいて +記録 竜樹 そういやここって軍事詳しい方って多いですね 21 03 27 竜樹 ついでに聞いとこう。ファンタジー世界の武器で高速(?)白兵戦の時ってどんな武器がありますか? 21 04 13 竜樹 いや、その、忍者同士みたいにすれ違いざまにガキンみたいなやつ。>風月堂さん 21 05 46 エルス (´△`)剣がポピュラーではないかと 21 06 56 竜樹 こう、壁とか三角蹴りして空中でがきんって。>風月堂さん 21 07 24 アマモリィヌ |^ ̄)普通に短剣? (アマモリィヌさんが入室しました) 21 07 35 アマモリィヌ |^ ̄)バスタードソードとか、ハルバートとかロマンいっぱいの武器は大好きなんですが(何 (アマモリィヌさんが退室しました) 21 08 16 という、雨杜 潤が竜樹の質問に頼まれてもいないのに回答するという記録が残されている。 「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」盗作疑惑(現在進行形) 2010/09/17――2ちゃんねるライトノベル板「小学館ルルル文庫 7冊目」において、読者参加型企画「ルルルカップ」にてネット公開中の雨月時乃(雨杜 潤)著作の小説「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が、漫画家:三原ミツカズ氏の著作「毒姫」と酷似していることが指摘された。 以下は、指摘された「毒姫」と「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」の類似点である。 +プロットの類似点 ※=2作品が異なる部分 <パクリのプロット> 毒娘オルテンシアの祈り → ※オルテンシアの血に口づけしようとするアレッシオ → オルテンシアにまつわる背景の紹介 → オルテンシアに献花するアレッシオ → ※アレッシオにまつわる背景の紹介 → オルテンシアは他国に送り込まれ、閨で国王を殺し、その場でアレッシオに出会う → アレッシオと馬で逃亡 → アレッシオが傷つき倒れる、キス、END <元ネタのプロット> [ベラドンナ編] 毒姫ベラドンナの祈り → ベラドンナに献花するアセビ → ベラドンナにまつわる背景の紹介 → ベラドンナはカラバッシュの皇室に送り込まれる → アセビがそのことを知る → カラバッシュの王にベラドンナが謁見 → ※アセビは侵入するも捕まる → ※アセビは拷問を受けて死亡 → 閨でベラドンナは国王を殺し、馬で逃亡、END [リコリス編] (検証用画像だけだと前後は分かりませんが)ヒロインとヒーローが馬で逃亡、END? ストーリーのディテールの類似性 1、冒頭。長い髪、目を伏せ、ヒロインは祈りを捧げている。 2、ヒロインに献花するヒーロー。ヒロインはその花を拒絶する。 3、漫画では毒花。小説では紫陽花が献花される。なお、紫陽花も毒を持っている。 4、献花する際にヒーローは笑顔を向ける。ヒロインとは城の庭で会う。 5、ヒロインはヒーローを拒絶。<漫画>「帰って。二度と来ないで」<小説>「わたしの前から消えて」 6、ヒロインは異国の皇室に送り込まれる。 7、ヒロインを寵愛するのは好色家の王。 8、ヒロインに会いに行くためにヒーローは木を登る。 9、ヒロインは口づけで王を殺し、何の表情も浮かべずに見下ろす。 10、ヒーローは逃亡用の馬を森の中に隠している。 +二作品の比較 パクリ:帝国貴族ボルジア家の令嬢で、十四番目の末娘。 元ネタ:カンタレラ家、第94番目の毒姫 パクリ:毒娘は、理由はないけど毒を帯びる体質だから毒持ちでも死なないんだよ! 元ネタ:毒娘は、幼少の頃より徐々に毒草の免疫を身につけたから死なないんだよ! パクリ:カンタレラというボルジア家独特の猛毒を用いて政敵を次々に毒殺したという史実 元ネタ:カンタレラ家に代々伝わる、毒娘の製造法により政敵を次々に毒殺したという設定 パクリ:毒娘の名前が「オルテンシア」(毒のある花の名前) 元ネタ:毒娘の名前が「ベラドンナ」(毒のある花の名前) パクリ:冒頭で毒姫の寝所にあるバルコニーに毒性のある花を届けに行く 元ネタ:冒頭で毒姫の寝所にあるバルコニーに毒性のある紫陽花を届けに行く パクリ:ヒロインから何度拒絶されても来訪の度に花を持って訪れる男 元ネタ:ヒロインから何度拒絶されても来訪の度に花を持って訪れる男 パクリ:「自分は他者を殺すために生まれた存在」「人を愛せない」というヒロインの自虐的・諦観的な性格 元ネタ:「自分は他者を殺すために生まれた存在」「人を愛せない」というヒロインの自虐的・諦観的な性格 パクリ:男が逃亡用の馬を森の中に隠している。 元ネタ:男が逃亡用の馬を森の中に隠している。 パクリ:中年の親父をベロチュー毒キッスで殺す。 元ネタ:中年の親父をベロチュー毒キッスで殺す。 +二作品の異なる点 0、名前 <毒姫>ヒロイン「ベラドンナ」、ヒーロー「アセビ」 <雨社>ヒロイン「オルテンシア」、ヒーロー「アレッシオ」 1、ヒーローの身分 <毒姫>アセビは毒見役の奴隷 <雨杜>アレッシオは地方貴族 2、ヒーローの心象 <毒姫>アセビはベラドンナに対し、城に咲く一番きれいな花を捧げたいと誓う。 <雨杜>アレッシオはオルテンシアを救いたいと願う。 3、ラブストーリー <毒姫>ベラドンナがアセビへの愛を自覚するのはヒーローが死ぬ直前。 <雨杜>オルテンシアは早い段階でアレッシオへの愛を自覚する。 これら類似点によって「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」盗作疑惑が深まっていったが、盗作疑惑に決定的な一撃を加えたのが雨杜 潤が過去に執筆した「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」と三原ミツカズ氏の著作「DOLL」の酷似である。 +集積回路のココロとDOLLの類似点 集積回路のココロ~キミのために花を摘む~とは――ライトノベル作法研究所2009年GW企画に投稿された雨杜 潤の作品 以下に「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」と「DOLL」の類似点を記す。 パクリ:機械仕掛けの人形(オートマタと呼ばれる男性型バトラー)が体に欠陥のある我が儘お嬢様を支える話 元ネタ:アンドロイドの人形(ドールと呼ばれる男性型メイド)が精神的に欠陥のある我が儘お嬢様を支える話 パクリ&元ネタ:親から誕生日さえ覚えてもらえない程放任されたお嬢様がある日機械仕掛けの人形(世話係)を与えられる。 お嬢様は彼(男性型である)に終始冷たいが、健気なほど彼はお嬢様に尽くす。 時は過ぎ、親も回りの人間とも死別した年老いたお嬢様を変わらず慕う人形… パクリ:タイトルは『集積回路のココロ』 元ネタ:タイトルが『集積回路のヒマワリ』 上に記した偶然にしては一致しすぎている類似点の指摘により、雨杜 潤の作品「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」は、漫画家:三原ミツカズ氏の著作「DOLL」の盗作であることがほぼ確定した(なお、タイトルの『集積回路のヒマワリ』は短編の第一話のタイトルである)。 三原ミツカズ氏の「毒姫」「DOLL」の二作品が雨杜 潤の二つの著作と酷似しているという、偶然にしては出来すぎた現実に盗作疑惑は盗作確定へと大きく傾いたが、これにさらなる追い打ちをかけたのが雨杜 潤のブログにおける「三原ミツカズ関連のブログ記事削除」の判明である。 三原ミツカズ関連のブログ記事削除 一連の盗作疑惑だが、盗作と断定する決定打に欠けていた。 関連スレッドにおいて「限りなく黒に近い灰色」「真っ黒だけど盗作とは断定できない」「作者とルルルの反応次第」などの意見が出る中で、2ちゃんねるにおいて雨杜 潤が本人の運営するブログ「Acid Rain」内の「三原ミツカズ関連の記事」を選択削除していることが判明した。 以下に、その記録を記す。 +その1 123 :イラストに騙された名無しさん :sage :2010/09/21(火) 16 12 38 (p)ID 77aUAMrk(2) ニュー速にも書いたけどブログの三原ミツカズに関する記述を削除してる 他にも削除された形跡があったからぐぐっら毒姫に関係した記事だった •2009年12月•2008年10月•2007年09月•2007年05月も削除されてるけど上手く探せず これらもたぶん三原ミツカズと毒姫関連 毒姫関係で削除してるのを見つけたのは2つ 2007.02.12 戦利品 今日、本屋へ行きました。 目当ては四冊。 オペラ・エリーゾ TOY JOY POP 黄昏の詠使い 毒姫 http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache au2KyVjZ7M8J acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-183.html 2008/03/08 19 34 毒姫とたましいのふたごの新刊買いました(* ̄^ ̄*) 以下、ネタバレあり。 毒姫。 やべえええ。 親父萌え!!!(マテ いや、なんか、三人の王子なら誰が良い? と言われれば、むしろ、親父か4人目でガーレですと答えます(マテ まぁ、やり手が好きってだけですが。 とりあえず、続きが気になりますかねぇ。カイトフラグばっかり立ってますが、個人的にはリコリスはハルと引っ付くべきだと思う( ̄^ ̄) http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache nTY_c6x1l6oJ acid0n.blog51.fc2.com/%3Fmode%3Dm%26no%3D401%26photo%3Dtrue+%E6%AF%92%E5%A7%AB+site http //acid0n.blog51.fc2.com/ cd=1 hl=ja ct=clnk gl=jp +その2 131 :イラストに騙された名無しさん :sage :2010/09/21(火) 17 01 00 (p)ID 77aUAMrk(2) 2007.09.03 (ノ_<。) 死化粧師がドラマ化ですって。 ヒィーッ http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache EjtzvW2B1gUJ acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-305.html+http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-305.html cd=1 hl=ja ct=clnk gl=jp 1つだけ見つかったけど後は分からん。死化粧師は三原ミツカズの漫画 なにもこんなものまで削除しなくてもと思ったけど とにかく「三原ミツカズや毒姫なんて知りません!」という事にしたい感じがします 以下は不明 ?年12月 ACID BREATH 2009年東京オフ会@コミティア編 http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-693.html ?年10月 http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-527.html ?年05月 ACID BREATH そろそろ http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-221.html ついでに http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache Y2h9nqMBjJEJ acid0n.blog51.fc2.com/blog-date-200701.html 2007.01.03 DOLL(三原ミツカズ) 漫画です。1~6巻まで揃えましたw これは最強です。面白い。短編集なんですが、短編でこんなに深い物語が描けるクリエーターは数えるほどしかいないんじゃないでしょうか。オススメ! ハッピー・ファミリー(三原ミツカズ) DOLLと同じく五年ほど前に友人宅で流し読んでから、すっごく欲しかったのですが、まともに買うと一冊千円ほどorz 揃えることが出来てよかったです。 2007.01.04 やっぱり、三原さん大好きだなぁ。登場人物が着てる服とか、イチイチ惚れ惚れしてしまうし。他の本も集めよう♪ 上記に記した雨杜 潤の稚拙な証拠隠滅行動は、当事者以外のその他に『(雨杜さんが盗作疑惑をなくすために)とにかく「三原ミツカズや毒姫なんて知りません!」という事にしたい感じがします』という印象を抱かせるだけに終わった。 これら雨杜 潤の隠蔽工作により、盗作疑惑は盗作確定の方向へと大きく傾いた。 同人誌掲載の過去 疑惑の「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」は「カンタレラ ~約束の君に接吻る~」というタイトルで鍛錬用投稿室に投稿されていた。 現在は閲覧できない状態になっているが、詳細は今もグーグルキャッシュにて確認できる。 http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache VrrYXgLBbNYJ ranove.sakura.ne.jp/story_system/public_story この作品の感想に対する返信において雨杜 潤は、本作が30枚という文量で同人誌に掲載されていたことを告白している。 小生が一番感じたのは、やはりこのお話はもっと枚数を使うべきじゃないのか、という所です。元の、30枚に納めた話を逆に読んでみたくもありますが…… 30枚版は同人誌買えば良いよ!w(ぉぃ もっと長い話にするなら、主役から全部変えたいですねぇ。個人的に、これはこの終わり方しかないと思って、完結しておりますので。 冒頭から何だか難いなー、というのが第一印象です。雨杜さんなら、もっとくずして書けるはずなのに。で、感想レスを見てみると、以前の作品だとのこと。 |^ ̄)…………感想レスなど見なくとも、maげふんげふん、インド総合店さんも以前に買ってくださった同人誌の作品ですが、何かw(ぁ これら返信内容から、雨杜 潤の「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が、 同人誌(30枚)→ラ研(30枚以上)→ルルル(20枚) という数度の改稿を得て、取引に金銭を伴なう書籍に掲載されていたのは確定である。 一般的な文学作品の公募において、同人誌や利益目的のHPでの公開は通常NGであることから、盗作疑惑とは別に「公募作品の規約違反疑惑」が起きている。 盗作疑惑、時系列でのまとめ ■2010/09/17 16 55、「小学館ルルル文庫 7冊目」において、ルルルカップ参加の雨月時乃雨杜 潤の小説「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が、漫画家:三原ミツカズ氏の「毒姫」と酷似していることが指摘される ■2010/09/18 09 52、「小学館ルルル文庫 7冊目」の住民がルルル文庫に対して、投票時に書き込めるコメントを利用した盗作抗議活動を行うことを提案・行動を起こす。(ルルルカップの投票数で優劣を決めるというルールに悪影響を及ぼす) 15 27、「小学館ルルル文庫 7冊目」の住民が「**三原ミツカズ4**」の住民に、疑惑作の盗作鑑定を依頼する ■2010/09/19 投票コメントを利用したルルル文庫に対する抗議と、疑惑作品に対する盗作の検証が続く 03 39、「【ワナビの】ライトノベル作法研究所116【哲学】」において雨杜 潤がTwitterで荒れていることが報告される→現在では荒れていた部分のログは削除されている 19 50、「**三原ミツカズ4**」において雨杜 潤がホームページで公開していた「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」が、三原ミツカズ氏の「DOLL」に酷似していることが指摘される ■2010/09/20 投票コメントを利用したルルル文庫に対する抗議と、疑惑作品に対する盗作の検証が続く 雨杜 潤がTwitterを更新、更新内容は「( ̄^ ̄)帰宅なう。三日間、お世話になりましたw 」 23 50、「ライトノベルのパクリ疑惑について【12】」に、盗作検証に不要な部分にモザイク処理を施した「毒姫」がUPされる ■2010/09/21 投票コメントを利用したルルル文庫に対する抗議と、疑惑作品に対する盗作の検証が続く 雨杜 潤が騒動発覚後個人ブログにおいて、三原ミツカズに関する記述の削除を行っていたことが確認される 23 59、「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」の改稿前作品「カンタレラ ~約束の君に接吻る~」が、取引に金銭移動が伴なう同人誌に掲載されていたことが確認される ■2010/09/22 15 47、ルルルカップ公式ページから、雨月時乃雨杜 潤の小説「【3】毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が削除される(削除理由の説明や告知文などはなし) 16 58、ルルルカップ公式ページに、『※【3】毒ノ華君~約束の君に接吻る~は著者の都合により削除させていただきました。』という文章が掲載される 関連スレッドにおいて、盗作疑惑を「著者の都合」で片付けようとするルルル文庫の企業姿勢に非難の書き込みが多数寄せられる 関連スレッド ライトノベルのパクリ疑惑について【12】 http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1283953301/197 【盗作】たまたま被っただけだもんっ!ライトノベル新人賞でまたまた盗作疑惑!? http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/news/1285040983/ 小学館ルルル文庫 7冊目 )http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1283960038/246n- 三原ミツカズ4** http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/gcomic/1258105175/ 【ワナビの】ライトノベル作法研究所116【哲学】 http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1284108575/ 2ちゃんまとめサイトの記事(比較検証画像あり) http //yutori2ch.blog67.fc2.com/blog-entry-1904.html 作品 本人のサイトより。 ただ独り君を謳う(06年) バトル小説。高得点。 宮廷夢想曲(09年) オーストリア宮廷を舞台にした歴史小説。高得点。 革命哀歌(09年) フランス革命を舞台にした歴史小説。高得点。 銀の十字に口づけを、紅き薔薇に弔歌を(09年) プロイセンの実話に基づいた歴史小説。GW企画総合2位。高得点。 集積回路のココロ ~キミのために花を摘む~(09年) 執事物。GW企画総合優勝作品。 凱旋りつく場所(09年) 異世界ファンタジー。夏祭り企画総合3位。高得点。 熱月に天使は微笑む(09年) フランス革命を舞台にした歴史小説。秋の夜長の小説企画総合2位。高得点。 毒ノ華君~約束の君に接吻る~(09年~2010年) 「カンタレラ ~約束の君に接吻る~」を改稿した、全身に猛毒をもつ姫君の悲恋を描いた小説。 ルルル文庫主催の読者参加型企画「ルルルカップ」投稿作
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雨杜 潤(あまもりじゅん)はライトノベル作法研究所の利用者。投稿者・感想人・チャット利用者。ラ研第1世代実力者?の一人である。 肖像画(AA) ( ̄^ ̄)( ̄Д ̄*) 人物像 チャットでは単なる歴史オタクだが、作中で専門知識を惜しみなく披露しており、個性的な武器となっている。王道を魅せる技術に長けており、丁寧な世界観に読者を惹き込む。企画では非常に見つけ易い特徴的な作者の一人となっている。 歳の離れた妹三女たんをこよなく愛する。挨拶は「ぐーてんもるげん」、口癖は「三女たんは渡しません!」。 GW企画で二作品投稿し、ワンツーフィニッシュを決めて圧倒的実力を示した。短編とコメディが死ぬほど苦手らしい。 以前から描写に定評があったものの、約二年のスランプ(※チャットでは「ニコニコ動画にハマって執筆どころではなかった」と話している)脱出後は更にレベルアップし、高得点連発や企画優勝を果たした。秋の夜長の小説企画?ではステルスゼロ状態で一番槍特攻を敢行し、歴代企画初の一番槍総合優勝を獲得すると思われたが、運営たちばな?に阻止される。 6度の高得点を記録し、そのうち5作品は2009年に発表された。 チャット利用者として チャットでは基本的に弄られキャラであり、呼称も「雨漏り」「雨さん」の他に「漢」「じゅんじゅん★」「三女たんのお姉さん」などがある。 また、GW企画以降は「イヌ」と呼ばれることも多い。自称「永遠の女子高生」。 盗作被害 雨杜 潤は2006年、個人HPに掲載していた短編小説『眠り姫は...』の盗作被害にあった。 参考URL:http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-39.html 盗作事件の内容は、タイトルの『眠り姫は...』が『眠り姫は眠らない』へと改題され『裕也』が『ヒロヨシ』と改名され、他にも台詞や改行が微妙に変えられた状態で他HPに掲載された悪質なものである。 この盗作事件に対して雨杜 潤は 「やっぱり、みつけるとちょっとばかし、 いや、かなーりムカムカムカムカッとクるものでして。 菩薩や仏陀の心など世界の隅に追いやって、 アガペー(隣人愛)のアの字も忘れる勢いで、 アッラーへの絶対服従なんてほっぽり出して、 殺ってやるモードになってしまいました(お前、何教だよ) 1%の理性と99%の面倒くささがなかったら、 今頃獄中だったかもしれませんね(マテ」 と、怒りを包み隠さない、自分の感情に正直なコメントを残していることから、雨杜 潤は盗作という行為に対して大きな嫌悪感を感じていたようだ。 その証拠に2007年に行われた「参考URL:http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-285.html」の「物書きに捧ぐ質問攻めバトン」において 18、盗作についてどう思いますか? …………最低ですね(真顔 と、真顔でコメントしている。 自作自演 2009年11月末にうっぴーが実施した交流用掲示板IP開示?において、当人物による自作自演行為が判明した。 この事件において雨杜 潤は、自分の作品に対する高得点入り報告を「おめでとうございます。特にたちばなさんは二度目の企画優勝、雨杜さんは6度目の高得点ですね。更なるご活躍を期待しております」という文面で行ない、その書き込みに対して「このたびは拙作に勿体無い評価を頂き、大変恐縮でございます。「熱月に天使は微笑む」の作者、雨杜 潤です」と、自分で書いた報告に自分で返信する一人芝居の醜態を晒した。 交流掲示板における高得点入り報告自体には問題ないが「雨杜さんは6度目の高得点ですね」など、悪意は薄いが痛々しい自画自賛を感じさせる文章が2ちゃんねらーの嘲笑対象となった事件である。 この時の某所の反応は交流用掲示板IP開示?にて詳細を確認できるが、該当ページには雨杜 潤に対して好意的に誘導しようとした者による編集の痕跡がある(差分にて現在でも確認可能)。 なお、当wikiにおける雨杜 潤のページには元々「自作自演行為の記録」が記されていたが、何者かにより自作自演の項目が削除されたことがある。 ggrks事件 2010/05/27 雨杜 潤ことアマモリィヌが、チャットに同席していた竜樹?に対し、捨てハンで「ggrks(ググレカス)」と暴言を吐いたことが某所にて晒された。 +記録 アマモリィヌ |^ ̄)カンタレラとか言い出すのは厨ですか、そうですか(ぁ (アマモリィヌさんが入室しました) 21 51 24 アマモリィヌ |^ ̄)砒素系が一番無難でメジャーですよね(何 (アマモリィヌさんが退室しました) 21 51 47 竜樹 青酸カリは即効性とよく聞きますがあれってふれたらただれるってことですか>毒 21 55 25 ggrks 青酸カリくらい自分で調べて良いんじゃないですか? (ggrksさんが入室しました) 22 01 47 ggrks (ggrksさんが退室しました) 22 01 51 この時のIPアドレスは FLH1Aai021.ehm.mesh.ad.jp=アマモリィヌ FLH1Aai021.ehm.mesh.ad.jp=ggrks であり、IPの一致から雨杜 潤が捨てハンで竜樹?に対して暴言を吐いたことが確定した。 なぜ雨杜 潤がこのような暴言を述べたのか理由は不明であるが、事件当日のチャットにおいて +記録 竜樹 そういやここって軍事詳しい方って多いですね 21 03 27 竜樹 ついでに聞いとこう。ファンタジー世界の武器で高速(?)白兵戦の時ってどんな武器がありますか? 21 04 13 竜樹 いや、その、忍者同士みたいにすれ違いざまにガキンみたいなやつ。>風月堂さん 21 05 46 エルス (´△`)剣がポピュラーではないかと 21 06 56 竜樹 こう、壁とか三角蹴りして空中でがきんって。>風月堂さん 21 07 24 アマモリィヌ |^ ̄)普通に短剣? (アマモリィヌさんが入室しました) 21 07 35 アマモリィヌ |^ ̄)バスタードソードとか、ハルバートとかロマンいっぱいの武器は大好きなんですが(何 (アマモリィヌさんが退室しました) 21 08 16 という、雨杜 潤が竜樹?の質問に頼まれてもいないのに回答するという記録が残されている。 「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」盗作疑惑(現在進行形) 2010/09/17――2ちゃんねるライトノベル板「小学館ルルル文庫 7冊目」において、読者参加型企画「ルルルカップ」にてネット公開中の雨月時乃(雨杜 潤)著作の小説「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が、漫画家:三原ミツカズ氏の著作「毒姫」と酷似していることが指摘された。 以下は、指摘された「毒姫」と「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」の類似点である。 +プロットの類似点 ※=2作品が異なる部分 <パクリのプロット> 毒娘オルテンシアの祈り → ※オルテンシアの血に口づけしようとするアレッシオ → オルテンシアにまつわる背景の紹介 → オルテンシアに献花するアレッシオ → ※アレッシオにまつわる背景の紹介 → オルテンシアは他国に送り込まれ、閨で国王を殺し、その場でアレッシオに出会う → アレッシオと馬で逃亡 → アレッシオが傷つき倒れる、キス、END <元ネタのプロット> [ベラドンナ編] 毒姫ベラドンナの祈り → ベラドンナに献花するアセビ → ベラドンナにまつわる背景の紹介 → ベラドンナはカラバッシュの皇室に送り込まれる → アセビがそのことを知る → カラバッシュの王にベラドンナが謁見 → ※アセビは侵入するも捕まる → ※アセビは拷問を受けて死亡 → 閨でベラドンナは国王を殺し、馬で逃亡、END [リコリス編] (検証用画像だけだと前後は分かりませんが)ヒロインとヒーローが馬で逃亡、END? ストーリーのディテールの類似性 1、冒頭。長い髪、目を伏せ、ヒロインは祈りを捧げている。 2、ヒロインに献花するヒーロー。ヒロインはその花を拒絶する。 3、漫画では毒花。小説では紫陽花が献花される。なお、紫陽花も毒を持っている。 4、献花する際にヒーローは笑顔を向ける。ヒロインとは城の庭で会う。 5、ヒロインはヒーローを拒絶。<漫画>「帰って。二度と来ないで」<小説>「わたしの前から消えて」 6、ヒロインは異国の皇室に送り込まれる。 7、ヒロインを寵愛するのは好色家の王。 8、ヒロインに会いに行くためにヒーローは木を登る。 9、ヒロインは口づけで王を殺し、何の表情も浮かべずに見下ろす。 10、ヒーローは逃亡用の馬を森の中に隠している。 +二作品の比較 パクリ:帝国貴族ボルジア家の令嬢で、十四番目の末娘。 元ネタ:カンタレラ家、第94番目の毒姫 パクリ:毒娘は、理由はないけど毒を帯びる体質だから毒持ちでも死なないんだよ! 元ネタ:毒娘は、幼少の頃より徐々に毒草の免疫を身につけたから死なないんだよ! パクリ:カンタレラというボルジア家独特の猛毒を用いて政敵を次々に毒殺したという史実 元ネタ:カンタレラ家に代々伝わる、毒娘の製造法により政敵を次々に毒殺したという設定 パクリ:毒娘の名前が「オルテンシア」(毒のある花の名前) 元ネタ:毒娘の名前が「ベラドンナ」(毒のある花の名前) パクリ:冒頭で毒姫の寝所にあるバルコニーに毒性のある花を届けに行く 元ネタ:冒頭で毒姫の寝所にあるバルコニーに毒性のある紫陽花を届けに行く パクリ:ヒロインから何度拒絶されても来訪の度に花を持って訪れる男 元ネタ:ヒロインから何度拒絶されても来訪の度に花を持って訪れる男 パクリ:「自分は他者を殺すために生まれた存在」「人を愛せない」というヒロインの自虐的・諦観的な性格 元ネタ:「自分は他者を殺すために生まれた存在」「人を愛せない」というヒロインの自虐的・諦観的な性格 パクリ:男が逃亡用の馬を森の中に隠している。 元ネタ:男が逃亡用の馬を森の中に隠している。 パクリ:中年の親父をベロチュー毒キッスで殺す。 元ネタ:中年の親父をベロチュー毒キッスで殺す。 +二作品の異なる点 0、名前 <毒姫>ヒロイン「ベラドンナ」、ヒーロー「アセビ」 <雨社>ヒロイン「オルテンシア」、ヒーロー「アレッシオ」 1、ヒーローの身分 <毒姫>アセビは毒見役の奴隷 <雨杜>アレッシオは地方貴族 2、ヒーローの心象 <毒姫>アセビはベラドンナに対し、城に咲く一番きれいな花を捧げたいと誓う。 <雨杜>アレッシオはオルテンシアを救いたいと願う。 3、ラブストーリー <毒姫>ベラドンナがアセビへの愛を自覚するのはヒーローが死ぬ直前。 <雨杜>オルテンシアは早い段階でアレッシオへの愛を自覚する。 これら類似点によって「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」盗作疑惑が深まっていったが、盗作疑惑に決定的な一撃を加えたのが雨杜 潤が過去に執筆した「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」と三原ミツカズ氏の著作「DOLL」の酷似である。 +集積回路のココロとDOLLの類似点 集積回路のココロ~キミのために花を摘む~とは――ライトノベル作法研究所2009年GW企画?に投稿された雨杜 潤の作品 以下に「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」と「DOLL」の類似点を記す。 パクリ:機械仕掛けの人形(オートマタと呼ばれる男性型バトラー)が体に欠陥のある我が儘お嬢様を支える話 元ネタ:アンドロイドの人形(ドールと呼ばれる男性型メイド)が精神的に欠陥のある我が儘お嬢様を支える話 パクリ&元ネタ:親から誕生日さえ覚えてもらえない程放任されたお嬢様がある日機械仕掛けの人形(世話係)を与えられる。 お嬢様は彼(男性型である)に終始冷たいが、健気なほど彼はお嬢様に尽くす。 時は過ぎ、親も回りの人間とも死別した年老いたお嬢様を変わらず慕う人形… パクリ:タイトルは『集積回路のココロ』 元ネタ:タイトルが『集積回路のヒマワリ』 上に記した偶然にしては一致しすぎている類似点の指摘により、雨杜 潤の作品「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」は、漫画家:三原ミツカズ氏の著作「DOLL」の盗作であることがほぼ確定した(なお、タイトルの『集積回路のヒマワリ』は短編の第一話のタイトルである)。 三原ミツカズ氏の「毒姫」「DOLL」の二作品が雨杜 潤の二つの著作と酷似しているという、偶然にしては出来すぎた現実に盗作疑惑は盗作確定へと大きく傾いたが、これにさらなる追い打ちをかけたのが雨杜 潤のブログにおける「三原ミツカズ関連のブログ記事削除」の判明である。 三原ミツカズ関連のブログ記事削除 一連の盗作疑惑だが、盗作と断定する決定打に欠けていた。 関連スレッドにおいて「限りなく黒に近い灰色」「真っ黒だけど盗作とは断定できない」「作者とルルルの反応次第」などの意見が出る中で、2ちゃんねるにおいて雨杜 潤が本人の運営するブログ「Acid Rain」内の「三原ミツカズ関連の記事」を選択削除していることが判明した。 以下に、その記録を記す。 +その1 123 :イラストに騙された名無しさん :sage :2010/09/21(火) 16 12 38 (p)ID 77aUAMrk(2) ニュー速にも書いたけどブログの三原ミツカズに関する記述を削除してる 他にも削除された形跡があったからぐぐっら毒姫に関係した記事だった •2009年12月•2008年10月•2007年09月•2007年05月も削除されてるけど上手く探せず これらもたぶん三原ミツカズと毒姫関連 毒姫関係で削除してるのを見つけたのは2つ 2007.02.12 戦利品 今日、本屋へ行きました。 目当ては四冊。 オペラ・エリーゾ TOY JOY POP 黄昏の詠使い 毒姫 http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache au2KyVjZ7M8J acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-183.html 2008/03/08 19 34 毒姫とたましいのふたごの新刊買いました(* ̄^ ̄*) 以下、ネタバレあり。 毒姫。 やべえええ。 親父萌え!!!(マテ いや、なんか、三人の王子なら誰が良い? と言われれば、むしろ、親父か4人目でガーレですと答えます(マテ まぁ、やり手が好きってだけですが。 とりあえず、続きが気になりますかねぇ。カイトフラグばっかり立ってますが、個人的にはリコリスはハルと引っ付くべきだと思う( ̄^ ̄) http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache nTY_c6x1l6oJ acid0n.blog51.fc2.com/%3Fmode%3Dm%26no%3D401%26photo%3Dtrue+%E6%AF%92%E5%A7%AB+site http //acid0n.blog51.fc2.com/ cd=1 hl=ja ct=clnk gl=jp +その2 131 :イラストに騙された名無しさん :sage :2010/09/21(火) 17 01 00 (p)ID 77aUAMrk(2) 2007.09.03 (ノ_<。) 死化粧師がドラマ化ですって。 ヒィーッ http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache EjtzvW2B1gUJ acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-305.html+http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-305.html cd=1 hl=ja ct=clnk gl=jp 1つだけ見つかったけど後は分からん。死化粧師は三原ミツカズの漫画 なにもこんなものまで削除しなくてもと思ったけど とにかく「三原ミツカズや毒姫なんて知りません!」という事にしたい感じがします 以下は不明 ?年12月 ACID BREATH 2009年東京オフ会@コミティア編 http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-693.html ?年10月 http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-527.html ?年05月 ACID BREATH そろそろ http //acid0n.blog51.fc2.com/blog-entry-221.html ついでに http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache Y2h9nqMBjJEJ acid0n.blog51.fc2.com/blog-date-200701.html 2007.01.03 DOLL(三原ミツカズ) 漫画です。1~6巻まで揃えましたw これは最強です。面白い。短編集なんですが、短編でこんなに深い物語が描けるクリエーターは数えるほどしかいないんじゃないでしょうか。オススメ! ハッピー・ファミリー(三原ミツカズ) DOLLと同じく五年ほど前に友人宅で流し読んでから、すっごく欲しかったのですが、まともに買うと一冊千円ほどorz 揃えることが出来てよかったです。 2007.01.04 やっぱり、三原さん大好きだなぁ。登場人物が着てる服とか、イチイチ惚れ惚れしてしまうし。他の本も集めよう♪ 上記に記した雨杜 潤の稚拙な証拠隠滅行動は、当事者以外のその他に『(雨杜さんが盗作疑惑をなくすために)とにかく「三原ミツカズや毒姫なんて知りません!」という事にしたい感じがします』という印象を抱かせるだけに終わった。 これら雨杜 潤の隠蔽工作により、盗作疑惑は盗作確定の方向へと大きく傾いた。 同人誌掲載の過去 疑惑の「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」は「カンタレラ ~約束の君に接吻る~」というタイトルで鍛錬用投稿室に投稿されていた。 現在は閲覧できない状態になっているが、詳細は今もグーグルキャッシュにて確認できる。 http //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache VrrYXgLBbNYJ ranove.sakura.ne.jp/story_system/public_story この作品の感想に対する返信において雨杜 潤は、本作が30枚という文量で同人誌に掲載されていたことを告白している。 小生が一番感じたのは、やはりこのお話はもっと枚数を使うべきじゃないのか、という所です。元の、30枚に納めた話を逆に読んでみたくもありますが…… 30枚版は同人誌買えば良いよ!w(ぉぃ もっと長い話にするなら、主役から全部変えたいですねぇ。個人的に、これはこの終わり方しかないと思って、完結しておりますので。 冒頭から何だか難いなー、というのが第一印象です。雨杜さんなら、もっとくずして書けるはずなのに。で、感想レスを見てみると、以前の作品だとのこと。 |^ ̄)…………感想レスなど見なくとも、maげふんげふん、インド総合店さんも以前に買ってくださった同人誌の作品ですが、何かw(ぁ これら返信内容から、雨杜 潤の「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が、 同人誌(30枚)→ラ研(30枚以上)→ルルル(20枚) という数度の改稿を得て、取引に金銭を伴なう書籍に掲載されていたのは確定である。 一般的な文学作品の公募において、同人誌や利益目的のHPでの公開は通常NGであることから、盗作疑惑とは別に「公募作品の規約違反疑惑」が起きている。 盗作疑惑、時系列でのまとめ ■2010/09/17 16 55、「小学館ルルル文庫 7冊目」において、ルルルカップ参加の雨月時乃雨杜 潤の小説「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が、漫画家:三原ミツカズ氏の「毒姫」と酷似していることが指摘される ■2010/09/18 09 52、「小学館ルルル文庫 7冊目」の住民がルルル文庫に対して、投票時に書き込めるコメントを利用した盗作抗議活動を行うことを提案・行動を起こす。(ルルルカップの投票数で優劣を決めるというルールに悪影響を及ぼす) 15 27、「小学館ルルル文庫 7冊目」の住民が「**三原ミツカズ4**」の住民に、疑惑作の盗作鑑定を依頼する ■2010/09/19 投票コメントを利用したルルル文庫に対する抗議と、疑惑作品に対する盗作の検証が続く 03 39、「【ワナビの】ライトノベル作法研究所116【哲学】」において雨杜 潤がTwitterで荒れていることが報告される→現在では荒れていた部分のログは削除されている 19 50、「**三原ミツカズ4**」において雨杜 潤がホームページで公開していた「集積回路のココロ~キミのために花を摘む~」が、三原ミツカズ氏の「DOLL」に酷似していることが指摘される ■2010/09/20 投票コメントを利用したルルル文庫に対する抗議と、疑惑作品に対する盗作の検証が続く 雨杜 潤がTwitterを更新、更新内容は「( ̄^ ̄)帰宅なう。三日間、お世話になりましたw 」 23 50、「ライトノベルのパクリ疑惑について【12】」に、盗作検証に不要な部分にモザイク処理を施した「毒姫」がUPされる ■2010/09/21 投票コメントを利用したルルル文庫に対する抗議と、疑惑作品に対する盗作の検証が続く 雨杜 潤が騒動発覚後個人ブログにおいて、三原ミツカズに関する記述の削除を行っていたことが確認される 23 59、「毒ノ華君~約束の君に接吻る~」の改稿前作品「カンタレラ ~約束の君に接吻る~」が、取引に金銭移動が伴なう同人誌に掲載されていたことが確認される ■2010/09/22 15 47、ルルルカップ公式ページから、雨月時乃雨杜 潤の小説「【3】毒ノ華君~約束の君に接吻る~」が削除される(削除理由の説明や告知文などはなし) 16 58、ルルルカップ公式ページに、『※【3】毒ノ華君~約束の君に接吻る~は著者の都合により削除させていただきました。』という文章が掲載される 関連スレッドにおいて、盗作疑惑を「著者の都合」で片付けようとするルルル文庫の企業姿勢に非難の書き込みが多数寄せられる 関連スレッド ライトノベルのパクリ疑惑について【12】 http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1283953301/197 【盗作】たまたま被っただけだもんっ!ライトノベル新人賞でまたまた盗作疑惑!? http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/news/1285040983/ 小学館ルルル文庫 7冊目 )http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1283960038/246n- 三原ミツカズ4** http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/gcomic/1258105175/ 【ワナビの】ライトノベル作法研究所116【哲学】 http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1284108575/ 2ちゃんまとめサイトの記事(比較検証画像あり) http //yutori2ch.blog67.fc2.com/blog-entry-1904.html 作品 本人のサイトより。 ただ独り君を謳う(06年) バトル小説。高得点。 宮廷夢想曲(09年) オーストリア宮廷を舞台にした歴史小説。高得点。 革命哀歌(09年) フランス革命を舞台にした歴史小説。高得点。 銀の十字に口づけを、紅き薔薇に弔歌を(09年) プロイセンの実話に基づいた歴史小説。GW企画総合2位。高得点。 集積回路のココロ ~キミのために花を摘む~(09年) 執事物。GW企画総合優勝作品。 凱旋りつく場所(09年) 異世界ファンタジー。夏祭り企画総合3位。高得点。 熱月に天使は微笑む(09年) フランス革命を舞台にした歴史小説。秋の夜長の小説企画総合2位。高得点。 毒ノ華君~約束の君に接吻る~(09年~2010年) 「カンタレラ ~約束の君に接吻る~」を改稿した、全身に猛毒をもつ姫君の悲恋を描いた小説。 ルルル文庫主催の読者参加型企画「ルルルカップ」投稿作
https://w.atwiki.jp/azasona/pages/85.html
潤原恭介 アルカナ 刑死者 身長 173cm 人物背景 二年三組の同級生。 とりあえずキモいの一言で表せられるタイプの人種。 ドMの気のある変態さん。何言われてもポジティブ言語に変換可能。 もはや新人類の域。 特別救助隊メンバーが大好きでやたら絡んでくる。 男女問わず口説き倒そうとするので女子からは「軽い人」男子からは「キモい奴」と思われてる。 …の割に何故かハブられない不思議。面白がられてるのかもしれない。 口調 僕/君/~だね。~かな。
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高橋潤哉はモンテディオ山形所属のFW 基本情報 国籍 日本 名前 タカハシ ジュンヤ 生年月日 1997年5月28日 出身地 秋田県秋田市 身長 178cm 体重 78kg ポジション FW 背番号 所属クラブ 2013年 - 2015年 モンテディオ山形ユース 2016年 - 2019年 駒澤大学 2020年 - 現 在 モンテディオ山形 → 2021年 アスルクラロ沼津(レンタル移籍) → 2022年 - 現 在 福島ユナイテッドFC(レンタル移籍) 個人成績 シーズン クラブ 番号 リーグ リーグ リーグカップ オープンカップ 通算 出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点 2014 山形Y 9 他 - - 1 0 1 0 2019 駒澤大 - - 0 0 0 0 2020 山形 33 J2 6 1 - - 6 1 2021 沼津 J3 28 6 - - 28 6 2022 福島U 9 31 8 - 2 4 33 12 通算 日本 J2 6 1 - 0 0 6 1 日本 J3 59 14 - 2 4 61 18 日本 他 - - 1 0 1 0 総通算 65 15 - 3 4 68 19
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179 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 04 00 53 ID WFgSj1Xq 「ハセヲ、何とか言えよ!」 「ハセヲさん、何とか言ってください!」 よぉ、ハセヲだ。 今ほんのちょっとばかり面倒なことになってて参ってる。 カナードの@ホームに来るまではいつも通りだったんだが……何がどうなってんのか 俺にも分かんねぇ。ただ1つ言えることは―――――――。 「パパ、パパ!」 「……だから。俺はパパじゃねぇって」 ―――――――招かれざる客が1人、ギルドに招待されちまってるってことだ。 ***************************** 日常ってのは随分と呆気なく変わっちまうものだと思う。 俺を取巻いているこの状況が良い例だな。 「倉庫に保管しておいたアジアンマンゴーとカラメルソース、全部そいつに取られたブヒ! ギルドメンバーかゲストキーを持ってるPCしかギルドには入室できないはずブヒ…… オイラにも何がなんだか、さっぱり分からないブヒ!」 だそうだ。 ブタ……じゃねぇ、デスランディにも分からねーらしい。 誰が? コイツの正体が、さ。 「むしゃむしゃ、ぱくぱく」 「食うか俺から離れるか、どっちかにしろよ……おい、聞いてんのか?」 美味そうにアジアンマンゴーを頬張る、招かれざる客。 通常、サーバー内にいる間は回復の必要がねーから回復系アイテムは使用できない。 なのにコイツは、まるで食うことが当たり前のように次々と腹の中に収めて行きやがる。 見た目は多分5歳くらいの女の子。長ぇ銀髪と黒ドレス、紅い瞳と頬に刻まれた呪紋(ウェイブ)。 PCなのかNPCなのか、それすら分かんねぇ。 でも最初にコイツを見た時、誰かの姿がダブって見えた気がする。 誰だっけか……よく知ってる奴のはずなんだが。 食われたアイテムは、どーせ大したもんじゃねぇから痛手じゃない……問題はコイツが――――――――。 「パパ、パパ!」 俺のことを、何でか知らないが“パパ”って呼ぶことだ。 ついてねーことに、揺光とアトリをパーティに呼んで一緒にギルドに戻ったもんだから…… 状況は最悪ってのが分かるだろ? しかもコイツ、俺が扉開けた瞬間、 「パパ!」 って叫びながら抱きついて頬擦りまでして来やがった。 当然、俺は何が何だか分からない。 にも関わらず、揺光とアトリは何を勘違いしたのか知りたくもねーけど……俺に問い詰めてきやがったんだ。 コイツが、俺の隠し子なんじゃないか、ってな。 180 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 04 02 07 ID WFgSj1Xq 「知らねーもんは知らねーんだよ! お前らもしつけぇな!」 「でもこの子、ハセヲさんのこと“パパ”って呼んでるじゃないですか!」 「それにどっから見ても親子だろ! 髪の色といい、服の色といい、瞳の色といい、ハセヲにそっくりじゃないか!」 ギルドは一気に修羅場へと姿を変える。 必死で身の潔白を証明する俺の言葉はアトリにも揺光にも届きやしねぇ。 誰だよ、届かない声なんてきっとないなんて大嘘こいた奴は。 だが分が悪いことに2人の言ってることがほぼ事実なのが俺にとっては痛い。 確かに、このガキは俺の使ってるPCに良く似たデザイン配色がされてる。 でも俺はこんなチビを見るのは初めてだし、パパなんて呼ばれる覚えもホントにねぇ。 「なぁ、お前は誰だ? どこのどいつだ? どっから来たんだ?」 「??? パパ?」 「……」 最悪なことに会話も成立しねぇ……。 さっきからコイツが喋る意味のある言葉はただ一言「パパ」だけ。 あとはまるで幼児語みたいな意味不明の言葉ばかりで、俺にゃ解読無理。 アトリ達は何が気に食わないのか、俺の話なんか一向に聞きやしねぇし……俺、何か悪いことしたか? 詰問する2人、纏わりつく見知らぬガキ、シカト決め込んだデスランディ。 あまりに一方的に理不尽すぎる状況に俺も我慢の限界が来て 「いい加減にしろ、てめえら!」と叫びそうになった時、幸か不幸か 「ちゃお。ハセヲいるー?」 新たな訪問者がギルドの扉を叩いた―――――――――。 「どした? もしかして取り込み中?」 来訪者は元碧聖宮・宮皇の経歴を持つPKK兼ハンター。 銀色の髪と群青色のドレスが冴え、それが喪服の様にも見える鎌闘士。 渋柿色の布で拘束された憑神・スケィスR:1を操る、かつて未帰還者の1人だった女。 PC名は、カール。 「ママ……? ママッ!」 そしてカールの来訪が状況に変化を齎す。 あれほど俺に纏わりついていたあのガキが、カールを見るや一目散に駆け出して行きやがった。 てか……今、分かった。あのガキを初めて見た時にダブって見えたのが“誰”なのか、が。 銀色の髪と黒っぽい服って言ったら、俺以外にももう1人いるじゃねぇか! 「ママ! ママ!」 「ママ……? あたしのこと?」 カールは面食らった様な表情を少しみせたものの、あまり動じていないっぽい。 アイツが来たことでやっとガキから開放された俺にとっちゃありがたい話だ。 けど、状況が変化したと言っても良い方向に変化するとは限らねぇみたいだ…… 今あのガキが発した一言を、こいつら2人は聞き逃してなかったみたいでな……。 「ハ~セ~ヲ~さ~ん~?」 「カールがママって……どういうことか……アタシ達にも分かるように説明してもらおうか……?」 「ま、待て、絶対何か勘違いしてんぞ!」 俺をパパ、カールをママと呼ぶ、あのガキ。 銀色の髪と黒いドレス……知ってる奴から見れば言い逃れ出来ねぇくらいに、 その、何だ……俺とカールに似てる。むしろ俺じゃなく、カールにそっくりだ。 瞳の色以外、まるでカールをそのまま小さくした様な……そんな印象も……何なんだ、アイツは? 181 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 04 03 11 ID WFgSj1Xq 「で? この子どこの子、迷子の子?」 「サモンナイト4 第2話のサブタイはいいから……マジメにやってよ、カール」 「本当にハセヲさんとカールさんの子供じゃ、ないんですね?」 「当たり前だっつの」 状況を察したカールの仲介で、やっとアトリと揺光も落ち着きを取り戻した。 つーか、よくよく考えれば俺達の子供なんて絶対に有り得ない。 ここは現実じゃなくてゲームの中、結婚イベントなんかやってる連中もいるっちゃいるが 実際に子作りなんかできるワケねーだろうが。 「ママ、ママ」 「はいはい。なぁに?」 カールはカールで、ガキの扱いにすげぇ手馴れてる。育児の経験でもあるのか? でも確かカールって一人っ子のはずだよな、それに俺と同い年だし結婚してるとも思えねぇ。 それとも女ってのは本能的にこういうこと、得意なんだろうか……。 はっきり言って、俺からしてみりゃ子供なんてウザイだけなんだが。 「カールさんって子供の相手するの、得意なんですか?」 「あたしに不可能はない。あたしは育児においても頂点に立つ女だから」 「銀狼怪奇ファイルとサソードがごっちゃになってるんだけど……」 「いずれにしろ、これで俺の身の潔白は証明されたワケだ。なぁ、もう落ちていいか?」 触らぬ神に祟りなし。 子供の世話は女に任せるのが一番だ。 コイツがどこの誰かは知らないがカールの言う通り迷子なら、CC社に届出を出せばいいだけの話。 俺をパパ、カールをママと呼んだのは……その理由まで考える必要もねぇか。 とにかく、俺はもうとっととこの場から逃げ出したい、そんな気分なんだよ。 「パパぁ……」 「な、何だよ」 「行っちゃヤダ、って言いたいんじゃないの?」 「だって俺カンケーねーし……カールだって嫌だろ?」 「あたし? んー、あたしは別に構わないけど」 いや、構ってくれ頼むから。 「あたしがママで、ハセヲがパパ。素敵じゃん」 「パパ呼ばわりされんのはゴメンなんだよ、俺は」 そーいや肉球団の連中も“ハセヲパパ”とか言ってたしな……思い出したくもねぇ。 カールはいつもの感じで本気なのか冗談なのか分かんねぇし。 つか、何か嬉しそうに笑ってやがるし……この天使の様な悪魔の笑顔に何度騙されたことか……。 未だに得体の知れない女だとつくづく思う。 「あのぉ。もしかして、なんですけど……」 「どしたのさ」 「これって、イベントの可能性はありませんか?」 「イベントだぁ? 子育てのイベントなんか聞いたこともねーぞ」 これまでもCC社は《The World》で色々と 奇抜なイベントやったことあるらしいけど……さすがに子育てはねーだろ、子育ては。 「告知もなしにCC社がそーゆーコト、するかな?」 「ロケテストの可能性もなくはないけど……アタシはちょっと聞いたことないな」 「じゃあ、その子がハセヲさんとカールさんにそっくりなのって……何ででしょうね……?」 182 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 04 04 51 ID WFgSj1Xq アトリの奴……終わった会話を蒸し返しやがって……。 他人の空似ってことでいいだろうがよ。 それに俺から言わせりゃ、このガキはどっちかっつーとカールに似てると思うんだが。 「アトリの言ってることも気になるんだけどさ。 さっきから皆“この子”だの“その子”だの“ガキ”だの随分な言い様だと思うのね、あたし」 「何が言いたいんだ?」 「名前、つけてあげなきゃ」 ガキは抱かれたまま、カールの髪をいじって遊んでいる。 共通したPCデザインと配色のせいか、どっからどう見ても親子にしか見えない2人。 最初は警戒していたアトリと揺光も次第にカールが羨ましくなったのか 「抱っこしてもいいですか?」とか言ってるけど、あのガキはカール(と俺)にしか 懐かないらしく、アトリ達が触れようとするとカールに強く抱きついて離れようとしない。 ……こんなのの名前決める必要、本当にあんのか? 「名前って……」 「名無しの少女じゃエロゲのキャラ名みたいで可哀想じゃん。ね?」 「ママ、ママ!」 名無しの少女(仮)はカールの意見に賛成らしい。 カールの髪をいじって遊ぶのに飽きたのか、今度は胸に頬擦りしたりと一時もジッとしていやしない。 俺はアイツに纏わりつかれた時いい気分じゃなかったが、カールはそうでもないらしく ガキの頭を撫でながら、女同士の話に花咲かせてやがるし……やっぱあの女、すげぇ。 「アトリは何か良い名前、思いつかない?」 「そうですね……やっぱり女の子だし、可愛い名前が良いと思うんです。 “音原田 九郎”とか“渋井丸 拓男”とか“恐田 奇一郎”ってどうでしょう? 可愛いと思いませんか?」 「可愛くねぇ上に野郎の名前だし、今にも死神のノートで殺されそうな名前ばっかじゃねぇか」 ダ、ダメだコイツ……早く何とかしないと……。 てかアトリにこういうこと任せちゃダメだろ、カール……あぁ、そうか。 カールは俺らと知り合って結構経つけどアトリとはあんま行動してなかったからな……電波知らねぇはずだわ。 「んー。揺光は?」 「無難に“スザク”か“ルルーシュ”が良いんじゃないかな、って。 スザクならハセヲと中の人が同じだし、縁起も良いだろ? な、ハセヲ」 「それも野郎の名前だろ……俺が反逆しちまうぞコラ」 揺光も最近どっかズレてきた気がする。 10年以上も昔のアニメの話とか始めるし……まぁ、どっちかっつーとカールに毒されたっぽいけど。 年がら年中アリーナバトルやってるってのも困りもんだ、たまには勉強もしとけよ。特に苦手な英語な。 「じゃあハセヲはどんな名前が良いってのさ、言ってごらんよ!」 「そりゃアレだ。“プックル”とか“ボロンゴ”とか“チロル”とか“ゲレゲレ”とか……」 「酷い……ハセヲさんにとって、この子は人間どころかベビーパンサー以下なんですね」 「アトリにだけは言われたくねーぞ」 名前とかどーでもいーだろうが! 誰だってフザけて「ああああ」とかで登録したりすんだろ? ゲームのキャラに名前付けんのに半日悩む奴もいるかもしれねぇけど、 俺はこれ以上関わり合いになりたかねーんだよッ! 「あーはいはい。ケンカすんな、きみ達」 「言い出しっぺはカールだろ、何か良い名前考えてんのか?」 「当然」 183 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 04 06 22 ID WFgSj1Xq 「さっきから思ってたんだけどさ。この子、裸足じゃん? じゃれ合ってる時に見えたんだけど……ちょっといい?」 「ママ?」 「ほら。足の裏に製造番号みたいなのあるし」 「えっ……?」 カールの膝の上に乗せられていたガキのスカートから覗く白い脚。 その足の裏に、カールの言う通り……確かに製造番号みたいなものが刻まれてやがる。 焼印? 違うな……何か、バーコードの印刷みたいにも見えるっぽいが……。 「segment.……A1……セグメント、エーワン?」 「セグメント……名詞だと“部分”とか“切片”って意味の英語ですよね、確か」 「や、アタシ英語はさっぱりだから……何でこんなのが足の裏に?」 「それはあたしにも分からない。でもコレを見た時、ピーンと来たんだ」 嫌な予感がする。カールの「ピーンと来た」はいつもロクな結果を生まないからだ。 こいつの思いつきで散々な目にあったのは1度や2度じゃねーからな……。 で、何にピーンと来たんだ? 「名前ってのはインスピレーションが大事なんだ。だから、この子の名前はセグ」 「うわ。カール、本気?」 「若本さんが声を担当してた人造人間みたいで、なんか可哀想ですね……」 「アトリが言っても説得力ねーと思うぞ」 何つぅか……直球と言うか……。 けど……何でコイツの足の裏に製造番号(?)なんかが……やっぱNPCなのか? 「セグ。セグもこの名前で良いよね?」 「きゃっ、きゃっ!」 「ほら。喜んでるし」 喜んでるか? このセグっての、見た目に比べて中身はてんで赤ん坊だし、 俺とカールにしか懐かねぇのも分からねぇし、何で俺達に似た配色なのかも……。 一度CC社に……パイに問い合わせた方がいいかもな。イベントなんかとは思えねぇ、やっぱ。 「ハセヲも呼んであげなよ、セグって」 「何で俺が……」 「きみ、パパなんだから。名前呼んであげるのは当然だろ?」 「誰がパパだ! 俺はだな!」 「パパ……?」 くそっ、んな目で見んじゃねぇっての! アレだ、いわゆる“いたいけな瞳攻撃”ってやつだ。 これは……やばい。しかもパパとか言ってくるし……言わなきゃ俺が悪人みたいな気分になってくる……! 「くっ……セッ……セグ……」 「パパぁ~!」 「だ、だから、引っ付くなって!」 「何か……見ててムカつきませんか……?」 「うん……何か……ムカつくね……」 セグがカールに抱かれてた時は興味深そうに見てたクセに 俺の時はすげー冷ややかな目で睨みつけてくるアトリと揺光……まるで犯罪者でも見る様な目ェしやがって。 つーか、今日はホントに何が何だか分からない日だ……何で俺がパパなんだ? ざけんな。 あとでCC社宛に抗議のメールでも送らねーと、ぜってー気が済まねぇ……。 230 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 03 44 46 ID XvB2wm3R 「んなイベント知らねぇだと? どーいうこった」 「そのままよ。CC社は“子育てイベント”なんて企画しても実施してもいない」 「じゃあ、あのセグってガキは……」 「……」 苦情も兼ねてパイにコンタクトを取ったのは正解だったらしい。 アトリは「イベントでは?」と疑っちゃいたが、 やっぱり子育てイベントなんざ有り得ねぇ。 その気になってるカールにゃ悪いが……家族ごっこに付き合うつもりは毛頭ねぇんだよ、俺は。 「PCでもなければNPCでもない…… けれどそんなキャラクターがサーバー内をうろつく……だとすれば、残る可能性は1つね」 「?」 「放浪AI」 「あんだよ、そりゃ」 「R:1からこのゲームを始めた貴方は知らないでしょう。 4年程前から見かけることも無くなっているし……」 パイの話を参考にするなら放浪AIってのは一種のバグらしい。 特に2010年~2014年が頻出期だったらしく、CC社側が『碧衣の騎士団』っつう デバッグチームを組織しなきゃならねー程、放浪AIは《The World》に溢れていた。 姿形は何故か少女の姿をした者が多く、ある者は言葉を知らず、ある者は女神の娘を名乗ったと言う。 ……設定だけはよく出来たバグじゃねーか。 「セグもその放浪AIだってのか……何でそんなのがカナードのホームに……」 「一応調べてみるわ。それにもし放浪AIだとしても、何処から来たのかは大体検討が付くもの」 「へぇ、何処だって?」 「ロストグラウンド……吹き溜まりの街・ネットスラムの可能性が高いわ」 *************************** 「ちゃお。ハセヲ、ひさしぶり」 「……あぁ」 「パパ! おかえり!」 「ぐおっ、セグ……!?」 ホームに戻って来た途端、セグの抱きつきが待っていた。 顔合わせんのは数日ぶりか……いや、それよりもだ。 コイツ、今確かに俺に「おかえり」って……。 「ハセヲったら、ちっともホームに顔出さないんだから。 暇だったし、あたしが教育しといた」 「マ、マジか……」 「言ったろ。あたしは育児においても頂点に立つ女だ」 231 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 03 47 14 ID XvB2wm3R 「ほら、セグ。パパが怒る前に離れな」 「はぁーい」 ……驚いた。 つい先日まで「パパ」か「ママ」しか喋らなかったあのガキが カールの言ってること、ちゃんと理解して……素直に俺から離れやがった。 てんで中身は赤ん坊だったはずだぞ、俺がいない数日に間に何があった……? 「きみが居ない間、シラバス達がこの子の相手してくれてたんだけどねぇ。 やはり父親役はきみじゃないとダメらしい、ハセヲ」 「うん。セグ、パパはパパじゃなきゃ嫌」 「……なぁ、何で俺がお前のパパなんだよ」 喋れる様になった、となりゃ話は早ぇ。コイツには色々と聞きたいことがあるからな。 パイが調べるまでもねぇ、セグ本人に直接問いただせばいいんだしよ。 俺とカールを親だと思ってるのは何故かとか、何処から来たのかとか、とか。 「分かんない。でもここに来れば、パパとママに会える気がした」 「じゃあお前ここに来る前は何処に居たんだ、つかどーやってギルドに忍び込みやがった!?」 「それも分かんない」 「……おい。カール」 「わーってる。でも無駄だよ、ハセヲ。 あたしも色々と質問してみたんだが……『分からない』の一点張り。 本当に分からないのか、プロテクトか何かで『分からない』と答えざるをえないのか……」 仮にカールの推測がビンゴだとして、誰がそんなコトをする? 俺とカールにセグを近づけて何かをやらかそうってのか。 でも俺の見た限り、このセグがそんな物騒な存在には見えねぇが……迷惑ではあるが。 自分の子供でもねーのにパパ呼ばわりされてみろ、ゾッとしねぇぜ。 「けどハセヲ。子守が嫌でホームに近づかなかった……ってワケでもないんだろう?」 「……パイに連絡取って、色々やってた。やっぱこれ、イベントじゃねぇみたいだぞ」 「だな。この子がイベントキャラなんて到底思えない、まるで……」 「まるで……?」 「……人間みたいだ」 ……そーいや、パイが言ってたな。 放浪AIの中には女神の構築データ収集のために放たれた者が何体か居た、って。 多くの人間が集まる《The World》の中で情報を集めて、より完璧な究極AIを作ろうとしてた 奴が、R:1時代に居たってことも。それがモルガナなのか? それとも別の誰か……。 オーヴァンが探してた“キー・オブ・ザ・トワイライト”と女神がどう関係してるのかは 知らねぇけど……セグも、もしかしたら“キー・オブ・ザ・トワイライト”と何か繋がりがあるってのか……? まさかな。話が出来すぎてて気味悪ぃ。 「にしてもアレだな。お前に育児の才能があるとは思ってなかった」 「ふふん。女を舐めたらアカンぜよハセヲ君」 「? パパ、ママを舐めたいの?」 「バカ言え」 ……カールに教育任せたのは、マズかったんじゃねぇの? ったく、とんだマセガキ……ん、なんだ……初めて会った時と何か雰囲気違うな、コイツ。 なんか、こう……あ。 「……お前、リボン付けたのか」 「ママが結ってくれたの。長くて綺麗な髪なのに、そのままは勿体無いよ、って」 「あたしのお婆ちゃんも髪結うの得意でね。チートでちょちょいと作ってやったんだ」 232 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 03 48 56 ID XvB2wm3R 「でね。この子の髪、すっごいサラサラしてんのね。ハセヲも触る?」 「あのな……」 「この世界の物質に触れて触感を得ることができるのは モルガナ因子を持ってるPCだけなんだ。撫でてやるくらい何でもないだろう?」 「……ちっ」 俺と同い年のくせに、カールはたまに大人びた口調で俺を諭すことがある。 からかってる時は訳の分かんねぇ例え話なんかで誤魔化すのに、こういう時だけ……ったく。 撫でればいいんだろうが。撫でれば。 「ほれ」 「あぁぁ、パパ! ぐしゃぐしゃになっちゃう~!」 「ハセヲ、ダメだって。セグの髪が乱れるだろ、髪は女の命なんだ」 「女の頭なんか撫でたコトねーから加減が分からねぇんだ、悪かったな」 そこまで大袈裟にすることもないだろうに。 カールは乱れたセグの髪をはたいて元の通りに戻しながら、俺に注意を促す。 曰く、「あたしが髪をバッサリした時、お婆ちゃんはすごく悲しんだ」とか 「髪は女の魅力を引き立てるモノの1つ、手荒に扱うのはダメっしょ」とか……。 「気をつけてほしいな。ハセヲは女泣かせるのが上手いんだから」 「オイ。まだ泣かせてねーだろ」 「ママ、パパは女の人を泣かせるが上手いの?」 「そーよ。揺光姉ちゃんもアトリ姉ちゃんも、パパに泣かされたことがあんのよ」 「パパ、甲斐性無し?」 「そーねー。甲斐性無しねぇ」 好き勝手に何か俺の悪口言ってねぇかコイツら……。 つーかこのガキ、誰が甲斐性無しだ、あぁ!? そりゃま、確かに……な、泣かせたことは否定しねぇけど…… けど、アトリの時も揺光の時も事情があってだな……。 「ふぁぁ……ママ、眠い」 「こんな時間か。パパが来たから嬉しくて疲れた?」 「うん」 まるで本当に人間みてぇに、セグは目を擦って眠気をカールに訴える。 時間は夜11時過ぎ、確かに子供が起きてる時間じゃない。 けど……放浪AIって寝るのか? 「明日もまた遊ぼうね」 「あぁ、遊ぼう。おやすみ」 「うん……」 カールの膝に頭を添えて、そのままセグは目を閉じた。 それ以降、あれだけ騒がしかったアイツはピクリとも動かなくなり、 その姿と相成って、まるで人形を見てる様な気分に陥る。 だが微かに聞こえる寝息が、セグを生き物であると定義づけているのも事実だ。 「どした。ハセヲ」 「いや、その……お前にばっか押し付けて、悪ぃ、つぅか……」 「きみが謝ることじゃない。あたしが好きでやってるんだ……ま、座れって」 「……おう」 233 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 03 50 39 ID XvB2wm3R 「子供の寝顔って可愛いだろう?」 「……」 「まだ出会って1週間も経ってないけど……この家族ごっこ、あたし的には結構楽しいんだ」 こいつが、カールがそんなことを言うのも珍しい。 いつもは俺や揺光をからかって、悦に入って喜んでるような奴なのに。 元々カールと知り合ったのは揺光の紹介だが……今思うと、俺は全然コイツのことを知らねぇ。 それに時々、コイツを見てて思うことがある。 何か……昔の、死の恐怖とか呼ばれてた頃の俺に、似てる……って。 「カールはソイツのこと可愛がってるみてぇだが、ソイツは――――――」 「自分の子供が可愛くない親なんて、いない」 「自分って……お前が腹痛めて産んだワケでもないだろうに」 「でもあたしをママと呼んで慕ってくれている。 例えそれがこの子の本意だろうと他意だろうと、あたしはこの子の母親のロールを続けるよ」 「……」 「昔、『中途半端なロールするな!』って言われたことがあんのね。 だから、さ。どーせ母親やるなら、徹底的にこの子に付き合ってあげるつもり。暇だし」 俺は揺光から紹介されるまでのカールを知らない。 コイツがPKKだったとか、碧星宮の宮皇になった途端にゲームを辞めたとか、 そういう話を聞いたのはずっと後のこと。 俺達のメンバーの中じゃ、クーンと同じくらいネトゲ暦が長くてR:1の頃から 《The World』をプレイしてる……俺が知ってんのはそんくらい。 “謎は女を女にする”とか意味不明なこと言っていつも誤魔化して。 「この子さ」 「あん?」 「きみが……ハセヲがパパで、この子は幸せだと思う」 「そうか? よく、分かんねぇけど」 「あたしには父親がいないから……この子には、そゆ思いさせたくないのね」 「死んだのか?」 「あたしが母さんの腹の中に居た時に離婚した。だから顔も知らない」 「……」 ……カールも、カールなりの人生、歩んでんだな。 俺の家だって親父も母さんもいつも居ねぇけど、離婚はしちゃいない。 片方の親がいねぇ気分ってのは……どんなんだろうな。 俺は知らない。けど、カールは知っている。 「だから。あたしの家は、お婆ちゃんが大黒柱。女3人で慎ましく暮らしてる」 「お前がそういうコト俺に話すの、初めてだな」 「ハセヲには知っておいてほしかったから」 「……」 「きみと揺光だけだ。この世界であたしの家の事情知ってんのは」 「……そうか」 膝の上で眠りこけたセグの髪を梳きながらカールは淡々と、それでいて何処か可笑しそうに笑う。 人の心にはいつもズケズケ踏み入って、引っ掻き回して、面白い方向に持って行こうとするのに、 こういう時だけ女の表情を見せるから、コイツはずるい。 「だが顔も知らない父親が残してくれたものもある。この世界だ」 「どういう意味だ?」 「あたしの親父だよ、この世界を作ったのは。 ハロルド・ヒューイックの黄昏の碑文から構想を得てフラグメントを開発、 《The World》のR:1日本語版を開発したスタッフの責任者が……あたしの親父だ」 234 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 03 52 59 ID XvB2wm3R 「もう親父の作ったR:1は無くなってしまったけど……それでもね、ハセヲ。 R:1時代の名残のあるロストグラウンドに行くと、昔が懐かしく思えてきたりもするの」 「カールでも、そういうこと言ったりすんだな」 「最近はそうでもないけど……この子見てたら、何かね」 誰だって感傷に浸りたい時はある。 俺も志乃がPKされた後、よくグリーマ・レーヴ大聖堂で考え事とかしてたから、分かるさ。 俺の場合は仲間だけど、カールの場合は……親だから。例え顔も知らない相手であっても、親には違ぇねぇ。 「とは言え……少し疲れたな。あたしも少し休もう」 「お、おい」 「いいじゃないか。きみとあたしと、この子しか、いないよ」 ドキリとする様な低い声で呟くと、カールは俺に寄り添って目を閉じた。 コイツも因子持ちだ。俺に触れた感触が伝わってるはず……カールの膝にはセグ、俺の肩にはカール。 無防備な寝顔見せやがって……俺を何だと思ってやがんだか。 ********************** 更に数日が過ぎた。相変わらず俺達の惰性的な子育ての日々は続いている。 でもいつまでも続けるワケにもいかない……セグが日を追うごとに色々と学習して行くのを 目の当たりにして、俺は益々そう思うようになっていった。 カールにとっちゃ残酷な選択かもしれねぇけど……やっぱ、確かめなきゃダメだってな。 「あぁ。ネットスラムなら知ってる、行ったことないけど」 「パイに調べさせたんだ。セグは、そこから来た可能性が高いって……」 「帰すべき場所に帰す? そゆこと?」 「あ、あぁ……」 「ふむ……分かった。行こう」 意外だった。セグをこんなにも可愛がってるカールが、あっさりと返事をすることが。 てっきり、いつもみたく何だかんだ言い訳して渋るか話をはぐらかすと思ったんだが……。 「……いいのか」 「帰る場所があるなら、帰すべきだ。違う?」 「まぁ、そりゃな」 「ネットスラム……R:2に移行しても残ってたか。 今になるまでその名を聞かなかった、ってことはロストグラウンド化してる?」 「らしいな。行くために必要なデータシードはもう俺が集めてある……いつでも行けるぞ」 俺1人で行っても意味がない。 カールと、そしてセグが一緒に行かないと、意味がねぇ。 今回ばかりは。 「セグ、お出かけしよう」 「パパとママとお出かけ?」 「あぁ。お出かけ」 母親としてのロールを最後まで真っ当するつもりなのか、カールの顔に迷いの色はなかった。 もうセグと離れ離れになるかもしれねぇってのに……。 「それじゃ行こうか、ハセヲ。ネットスラムへ」 288 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 04 50 07 ID T51nueZD 「はるばる来られたところ申し訳ないがの……その子は、この街の住人ではない」 ネットスラムの長、タルタルガは確かにそう言った。 俺達がこの吹き溜まりの街にやって来たのは、セグを本来いるべき場所に戻すため。 なのに、この爺さんはこともあろうに「この街の住人ではない」とか抜かしやがる。 何のために俺が苦労してデータシード集めて、ここに来たと思ってんだ? 「確かにここはバグPCや破損データの集落だがね……その娘はワシらとは違う存在に思えての」 「どーいうこった、そりゃ」 「その娘はPCでもNPCでもない。ましてや放浪AIでもない。 正体は分からんが……ワシはそう感じた。だが君の言うように何かが欠損しているフシもある……。 珍しいお客だとは思うがね、これ以上はちょっと分からんわい」 「ネットスラムの長老にも分かんないか……お手上げだな、ハセヲ」 ここでなら何か手掛かりがあると思ってた。 勝手にギルドに押し掛けて来て、勝手に食い散らかして、俺のことをパパと呼ぶチビ。 銀色の髪、黒いドレス、紅い瞳……俺とカールにカラーリングがそっくりなガキ。 セグと名付けられたそいつとの日々をカールは楽しんで居たけど、俺はやっぱ何か違うと思った。 だから本当の両親がいるなら(例えゲームの設定でも)探してやろう、って。 なのに、ここにもセグの居場所は無い。 「力になれんで申し訳ない。 だが久々にここを尋ねてくれるプレイヤーがいてくれて、嬉しかったわい」 「こんな色気のねぇ廃墟、物好きじゃなきゃ確かに来ねーわな」 「ここってバグPCとか放浪AIとか、しょっちゅう来るの?」 「昔ほどではないがの。最近来たのは……ほれ、アイツじゃ、あの頭に角の生えた仮面男。 『漢と書いて男と読む』などと、うわ言の様に繰り返しておるじゃろう? もう自分がPCなのかNPCなのかの区別も付かなくなっておる……何かショックなことでもあったのかのぅ」 「女にでもフラれたんだろ」 世の中、つまんねーコトで大袈裟にショック受ける奴多いからな。 でもあの仮面男……どっかで会った気がするようなしないような……ま、いーか。 しかし参った。 セグがネットスラムの住人じゃねーとなると、何処から来たんだ、コイツ。 人の気も知らねぇでカールの膝で気持ちよさそうに眠りやがって……頬っぺた抓るぞ。 「ところでそちらのお嬢さん」 「んー。あたし?」 「そう、あんたじゃよ。お前さん、実に勿体無いの」 「あん? カールの何が勿体無いってんだ、爺さん」 「お嬢さん、あんたには素晴らしい才能がある。 だが惜しいことに半分以上が眠ったままの様でな……それが勿体無くての」 ……いきなり何言ってんだ、このジジイ。 「まっさか。もうレベルもカンスト状態だよ、あたし」 「数値で表せる様なモノではないのじゃよ。 ワシが見たところ、お主はモルガナや女神に縁のある者と見たが……違うかの?」 「へぇ……よく分かるね、長老サン」 モルガナ? モルガナ因子のモルガナのことか? てかモルガナって何だ? 今思うと俺は、そんなことも知らずに憑神を、スケィスを使っていた。 そのスケィスももう居ねぇ。スケィスは、今はカールが使っている。 俺のスケィスとはまた違う、別のスケィス。全身を紅い包帯で拘束されたスケィスを――――――。 289 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 04 51 50 ID T51nueZD 「で? 勿体無いから? それだけ?」 「わざわざ辺鄙な場所まで尋ねて来てくれたお客を、手ぶらで帰すのも可哀想じゃろ。 お詫びと言っては何だが、ワシがお嬢さんの眠った力を引き出してやろうかと思っての」 「オイオイ。ここはナメック星じゃねぇんだぞ、爺さん」 って、ありゃ最長老様だっけか。 つーか、カールに眠った力がある? 嘘くせー何か嘘くせー。 前に一度戦ったことあるから分かるけど、この女が本気になったら Xthフォームにでもならなきゃ俺でも勝てる気がしねぇ。 憑神まで使えるってのに、まだ隠された力があるだ? 冗談キツイぜ、オイ。 「その“眠った力”ってのが開放されれば、あたし、もっと強くなれる?」 「お嬢さん次第かの。お主自身の救いにも滅びにもなる……良いも悪いもリモコン次第じゃ」 「んー、どーしよっかなぁ」 「カール、こんな胡散臭ぇ爺さんの言うこと信じるのか?」 「でもせっかく引き出してくれるって言ってるし? その引き出す方法ってのがやらしー方法だったらお断りだけど」 そりゃそうだ。 その手のパワーアップ方法ってエロゲとかエロノベルとかだと 十中八九の割合でエロい方法って相場が決まってやがんだからな。 もしそのつもりならタダじゃおかねーぞ、ジジイ。子供の前で乱痴気騒ぎなんかさせてたまるかっての。 「何もしやせんよ。この杖で軽く叩くだけじゃからの」 「……すげー簡単に引き出せるのな」 「見た感じでは、お嬢さんのPCには未知のブラックボックスがあるようだ。 ワシはただ、それを開いてやるだけ……さっきも言ったが、後はお嬢さんの意志に任せよう」 「あたしの中に……ね。全然気が付かなかった」 カールはタルタルガを信じたらしく、一歩前に歩み出る。 この爺さん、すげー背が低いから176cmあるカールと比べると大人と子供にしか見えねぇ。 俺は眠ったセグをあやしながら、2人のやり取りをじっと見る。 「では行くぞい」 「ん。どんとこーい」 するとタルタルガは徐に杖の先端で、軽くカールの腹を叩く。 それだけ、ただそれだけだった。 少なくとも、俺には何も変わらないように、そう見えた。 「あ……?」 「お、おい、カール!?」 なのに、突然カールはフラついて倒れそうになる。 PCがゲームの中でフラつく、ってのは妙な表現だが確かにそうなんだから仕方ねぇ。 銀色の髪が揺れて、黒衣が俺の腕に倒れこむ刹那、カールに触れた俺にも 何かが……よく分かんねぇけど、何かが伝わった、そんな感じがした。 「(これは……スケィスが発動しかけた時と同じ感覚……?)」 「変なの……あの時と同じだ……何かが、あたしの中で……生まれたみたいな……」 あの時? カールがスケィスを手に入れた時のことか? 俺はコイツのこと知ってるようで何も知らねぇ、ホント今更だけど。 お前は、俺と出会う前に何をしていた? モルガナと女神との縁って何だ? なぁ、カールよぅ……。 290 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 04 53 32 ID T51nueZD ********************** 「気分、どうだ?」 「さっきは何か変な感じだったけど、もー大丈夫」 「そっか」 ネットスラムから帰還後、俺達はカナードに戻った。 カールは気分が優れないらしく、一旦落ちるもののすぐに復帰。 セグはカールが居ない間、俺が面倒を見たんだが……子供の相手ってのは結構ムズいと思い知った。 特にここ最近のセグはカールが言葉を教えたせいか、言いたいこと言い放題で困る。 かと言ってギルドの外を歩いて「宮皇のハセヲが子供連れて歩いてるw」とかBBSに カキコされんのは避けたい。ロリコン趣味はクーンで十分だ。今は遊び疲れて眠っちゃいるが。 「なぁ。カール」 「んー」 「お前、何だかんだで俺達と距離置いてないか」 「そう?」 「俺は……お前のこと、揺光に紹介されてから……ずっと仲間だって……。 前はカールが昔何やってたとか、そういうのは興味なかったけど……」 「にょう? ハセヲはあたしのこと、知りたいの?」 「……あぁ」 知りたい。お前のこと、知りたい。 俺の前で語らない、お前の昔のこととか、全部。 まるで小さな子供が、好きな絵本を読む時、母親に「早く次のページのお話して」とせがむ様に。 カールは誤魔化す時に“謎が女を女にする”なんて言っちゃいるが……コイツは、十分すぎる程に女だ。 「ふむ……そうだね。面倒だから端折って話すよ、それでもいい?」 「あぁ」 「……あたしはね。前のバージョンで、スケィスにデータドレインされたことがある」 「スケィスに……?」 「8年前だな。あの頃のスケィスはモルガナってオバサンの手下だった。 あたしは……ちょっとワケありで“キー・オブ・ザ・トワイライト”持ってて狙われてたのね、スケィスに」 「キー・オブ・ザ・トワイライト!? マジか! カールが持ってたのか!?」 驚いた。 オーヴァンが探してた……いや、俺達「黄昏の旅団」が探していた、あのアイテムを。 カールが、かつて持っていた……? 「持ってた、ってのは語弊があるな。連れてた、ってのが正しいかも」 「連れて……?」 「キー・オブ・ザ・トワイライトはね、ハセヲ。 伝説のアイテムなんかじゃない……あたしから見たアレは……小さな女の子だった」 「……女神?」 「ご名答。あたしが連れてた頃は、まだ赤ちゃん同然だったけどね。 そうだね、セグと同じ……見た目、5歳くらい? とにかくあたしはその子を連れて、ウィッチブレイドよろしく親子で逃避行してたんだ。 あたしがスケィスにデータドレインされて意識不明になった後のコトは覚えてないけど」 291 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 04 55 31 ID T51nueZD 「あたしの中にモルガナ因子があるのは、そのせい。 スケィスが使えるようになったのは、ハセヲが使ってたスケィスが消滅した後だね。 言ってみれば繰り上げ当選の碑文使いなんだよ、あたしは」 俺が碑文使いじゃなくなったから、代わりにカールが……? でも確かに話を聴く限り、俺よりもスケィスを使役する因果が強いのはカールだ。 前のバージョンの《The World》からプレイしていて、スケィスにデータドレインされて 意識不明になって……でもそれなら、パイのタルヴォスやクーンのメイガスも 他の誰かが繰り上げになって今、使ってるってことになるんじゃないか? パイからは、そんな話聞いてねぇけど……。 「他の憑神はどうか知らないけど……スケィスはね、ハセヲ。特別なんだ」 「特別?」 「モルガナのあらゆる悪意が、特に強く込められて作られてる。 娘を殺すためだけに作った、殺人マシーンだかんね。 あたしのスケィス、全身を紅い包帯で拘束されてただろう? あれをしたのは、あたし。昔のあたしもね、《The World》に悪意をバラまくとか ガキっぽい理想持ってたけど……モルガナに比べりゃ、大したもんでもなかったんだ。 だからスケィスの力を抑えるための拘束具なのね、あの包帯は。 あれがなきゃ、モルガナの悪意に飲まれて……頭おかしくなっちゃうもん。あたし、脆いから」 確かに、一理ある。 俺もクーンとの戦いで一度、スケィスを暴走させたことがあるから分かるんだ。 何かこう、言葉じゃ言い表せられないようなおぞましいモンが俺の中に入ってきて…… 自制が聞かなくなって、気がついたらメイガスをタコ殴りにしてて……。 カールは、だからスケィスをああやって全身拘束してたのか……。 「使うべきもんに使われるようになっちゃ、ダメってことだな」 「ほほう、名言だね。天狗のオッサンから聞いた?」 「あぁ……まぁ、な」 誰かを傷つけてから悟る様じゃ……遅すぎたけどな。 「あたしがセグとの親子ごっこが楽しいって思ったのは…… やっぱ、あの頃が楽しかったからかな……命がけの鬼ごっこだったけど……好きだったんだ。 あたしを追いかける鬼がね、好きだったの。 ハセヲを見た時、あいつのコトちょっと思い出したな……うん、以上でダサイ昔話、終了」 初めて見た、カールが照れ笑いなんかするの。 いつも俺や揺光をからかう時に見せる意地の悪い様なものではなくて、 グラフィック処理された架空の笑顔だってのに……何か、少しだけ見惚れるくれーに。 「くっくっく……不思議だ。きみと一緒にいると、あたし、時々ヘンなくらいに素直になれる」 「……いつも変だろ?」 「ハセヲ。あたしはきみが笑う顔を見るのが好きだ。 きみが怒る顔を見るのが好きだ。きみが揺光と一緒に居るのを見るのが好きだ。 きみがセグと一緒に遊んでいるのを見るのが好きだ。きみが戦う姿を見るのが好きだ。 でもね、やっぱり一番は……あたしだけに話しかけてくれる、きみが好きだ」 ……えーっと、つまり? 「おっと。おばあちゃんが呼んでる、夕飯の時間だ。ハセヲ、じゃあ」 「あ、あぁ……」 言いたいことだけ言って……お前はいつも、そうやって行っちまうのな。 308 :名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 03 56 49 ID taYCUc2J 俺達がセグと出会ってから8日目。 それまで騒がしくもそれなりに楽しかった俺達の日常は一変した。 世界の終わりってのは案外と呆気なく来るもんなんだな……ってくらい、それは突然に。 「あわわわ! シッ、シラバスゥ~!」 「ていっ! やぁっ! ガスパー、クーンさん達の所までもう少しだから頑張って!」 闇に覆われたタウン、グラフィック崩壊、街中で徘徊を始めるバグモンスター。 まるで地獄の釜の蓋を開けたかのように、次々とカオスゲートから湧き出てきた奴らはプレイヤー達を襲う。 レベルの高ぇ奴は勇猛に、レベルの低い奴は恐怖に足を竦ませながら、それを迎え撃つだけ。 選択肢は迎撃のみ。逃げることは許されねぇ。 「何なんだコイツら……しつっこいなぁ!」 「揺光さん、うしろうしろ!」 「おっと! ナイス、アトリ!」 街中を埋め尽くさんばかりに行軍する化け物の群れ。 地獄にでも迷い込んだみてぇな気分……修羅場は幾つか潜ってきちゃいるが、今回は少しヤバイ。 アリーナバトルならともかく、街中での戦闘なんて誰も経験したことねーだろ? しかも、敵の数がハンパねぇと来てる。 「楓。状況はどうなってますか?」 「現在、月の樹とケストレル、CC社が連携して各タウン内のモンスター殲滅に当たっています。 ですが状況は圧倒的にこちらが不利のようです。我々の@ホーム陥落も時間の問題かと……欅様?」 「うーん。またハセヲさんに頼らなきゃ、ってコトになりそうだなぁ」 モンスターの数は際限ない。 でも戦うしかない。何故逃げない? 逃げれねぇからだ。 「AIDAサーバーの時と同じだね……。ログアウト出来なくなっている……“彼女”も、怯えているみたいだ……」 「また直接《The World》を見るハメになるなんてなぁ……ったく、これで合コンがパーだ!」 かつて碑文使いだった連中は一箇所に留まらず、 各タウン(マク・アヌ、ルミナ・クロス、ドル・ドナ、ブレグ・エポナ)に分散して交戦中。 中でも一番の激戦区はここ、ブレグ・エポナだ。 奴らは……何かを狙って、このタウンに押し寄せている……そんな気がする。 「秘奥義・重装甲破ッ!」 「環伐乱絶閃!」 カナードのホーム周辺は完全に包囲されていた。 俺とカールの2人で群がる化け物どもを何とか食い止めちゃいるが、さすがにキリがねぇ。 もう1人、誰か援軍が欲しいところだが……奴らは泣き言を言ってる暇も与えちゃくれない。 これは……何かとんでもねーことが起こってるんじゃないだろうか? ただのシステムトラブルとは思えねぇ、何か、とてつもない悪意みたいなものをビリビリ感じる。 AIDAサーバーなんか比較にならねぇ程の、とんでもない何かの悪意を。 「やれやれだぜ……倒しても倒しても出てきやがる!」 「ばみょん! ハセヲ、回り込まれないように!」 「んなこと言ったってよ!」 戦力に差がありすぎんだよ! いくら俺達がレベルカンストでも、さすがにこの数の相手は無理だ。 けど、このままじゃここを拠点に戦うのが精一杯で他のPCのヘルプにまでは廻れない。 多分、化け物どもにやられちまったPC達は……チッ。今は、ここを切り抜けねぇと話にならねぇ! 309 :名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 03 58 24 ID taYCUc2J 『ハセヲ、聞こえるかしら』 「! パイか!?」 『敵の本拠地がやっと割り出せたわ。 奴らは【Δ 輪廻する 煉獄の 祭壇】から送り込まれている可能性が高いみたい』 ジリ貧状態の今、パイからの通信は吉報だった。 守るだけが能じゃねぇ、こっちから攻めねぇと永久にこの戦いは終わりそうもねーからだ。 けど、Δサーバー……マク・アヌまで移動するっつーことは……カオスゲートまで行く必要があるってこった。 こいつらを退けて、だぞ? 『8年前、かつてドットハッカーズ……勇者のパーティが最後の戦いに臨んだ場所よ。 ロストグラウンド化しているから、カールのスケィスもそこなら使用可能なはず。 私も今から合流す……きゃっ!? ザザッ、ザ―――――――――――――――――――ッ!』 「パイッ!? おいっ、返事しろ! パイッ!!!」 「CC社が落ちたか……サーバーを乗っ取られた時点で負けも同然だったんだろうけどね」 ……一刻の猶予もねぇって感じになってきやがった。 最悪の場合、もし俺達までやられちまったらどうなる? 誰がこの世界を救う? てか、救えるのか? この絶望的な状況で? いくら竜賢宮の宮皇っつたって、一介の工房の俺が? 無理だろ、どう考えても。 「ハセヲ、今はオバサンを信じて進むしかない。 何とかカオスゲートまで行って、マク・アヌ経由でそのエリアまで行くんだ」 「行くって……カール……お前、怖くねぇのか……?」 「怖いよ。でも、きみが居るから大丈夫」 相当に修羅場慣れしている、そんなカールの笑顔。 俺とこうやって会話している間もカールは攻撃の手を休めることなく、 モンスターの大群と対峙、薙ぎ払いながら活路を見出そうとしている。 カールの揺ぎ無い闘争本能は、こんな状況においても健在だった。 ……だよなぁ。怖がってちゃ、いつまで経っても、前には進めねぇ! 「ハセヲ。きみが【Δ 輪廻する 煉獄の 祭壇】に行け。ここはあたしが食い止めるから」 「!? 俺はもう憑神が使えねぇぞ、お前が行かなきゃ意味ないだろうが!」 「あたしは……ここでセグを守らなくちゃいけない。娘を置いて逃げ出す母親が何処の世界にいる?」 「けどよ!」 「憑神は……スケィスは、きみに譲ろう」 【第一相スケィスR 1のデータがインストールされました】 「!」 「あたしの大事なモノだけど……ハセヲにあげるよ」 戦禍の最中、俺の胸にカールの指先が軽く触れると何かが俺の中に流れ込んでくる。 久しく忘れていた感覚……枯渇していた俺の中のモルガナ因子が瞬時に沸騰するみてぇな……! 居る。俺はここに居る。アイツも、俺の傍に居るのが理解る! 「行って。ハセヲ」 「……わーった。ただし、俺もお前に渡すもんがある」 俺の手中に顕現した大鎌、それを俺は無言のまま地面に突き刺す。 カールはここに残ってセグを守ると宣言した以上、てこでも動かないだろう。 だから、俺は振り返らずにカオスゲート目掛けて駆け出した。 群がり纏わりつく化け物どもを蹴散らしながら、逃げるためではなく、勝ちに行くために。 310 :名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 04 00 59 ID taYCUc2J 「ママ……。パパは……何処に行っちゃったの……?」 「悪者退治。セグ、危ないからホームの中に隠れてな」 「うん……」 ハセヲを送り出せてカールは満足していた。 傍から見れば、どう考えても分の悪い賭けにしか思えない。 だがカールはハセヲの強さを、可能性を信じている。だから希望を彼に託した。 「ロストウエポン……万死ヲ刻ム影。 スケィス無しの状態のあたしでも使いこなせるかどうか……」 去り際にハセヲが地面に突き立てた大鎌・万死ヲ刻ム影。 第一相の碑文使い専用のロストウエポンである死ヲ刻ム影がウイルスコアを貪り喰い、 成長した結果がこの武器である。 以前のスケィスを所持していたカールならば適応もできただろう、 しかし先程ハセヲにスケィスを譲渡してしまった今、カールに適正があるのか? 「ふむ……はぁっ!」 躊躇している場合ではない。 とっさに地面から万死ヲ刻ム影を引き抜き、引き抜いた反動を利用しながら敵を薙ぐ。 ……使えないこともなさそうだ。けれど、やはり100%の力を引き出すには至らない。 だが先程までカールが使用していた大鎌に比べれば、その破壊力は歴然。 この武器をもっと上手く使いこなせたら、もう少し時間が稼げるのに。 「……アレやるか。まだ不完全だけど」 さながらタウンは阿鼻叫喚の地獄絵図。 あちこちからプレイヤーらの怒声や悲鳴が響き、かき消えていく。 モンスター達にPKされて意識を奪われ、未帰還者となってしまったのだろう。 ハセヲがこいつらを操っているボスを倒すまで、何とかここで粘らねばならない。セグのためにも。 女として、母親としての器を試される時であるとカールは知る。 「すぅ……はぁっ!!!」 迷いを振り切ったカールの叫びに呼応して、ブレグ・エポナの空気が震えた。 銀色の髪が、黒衣が揺れ、白い光に包まれながら粉雪の様に舞い散ってゆく。 それと同時に闇に覆われたタウンに一閃の眩い光が疾り、思わず化け物どもも目を背ける。 そして静寂。しかしカールを倒さんと、再び彼らが己は眼を開く。それが本能。 いや、或いは開かなかった方が良かったのかもしれない。光の中ではなく、闇の中で死ねたのだから。 「タルタルガに感謝しなきゃ……おかげで、あたしはまだ戦える」 ホームに押し寄せた闇の軍勢は視た、白雪の様な無垢なる白さを思わせる色の髪の少女を。 見様によっては限りなく白に近い銀。“らしさ”を残しながらも光に溶け込むかの如く、白を基調としたドレス。 だが何と言っても手足や髪留のアクセントに紅い帯があしらわれていることが顕著か。 両の腕が不釣合いな大鎌さえ握っていなければ、異国の聖人か姫君と見紛うばかりであるのに。 これは彼女の奥底に眠っていたモルガナ因子の具現、意志の強さ、負けられないという確固たる決意の顕現。 「Xthフォーム参上、かな?」 8年前、カールは女神を狙う邪な存在から女神を守ることができなかった。 子殺しを熱望する母親、そんな者が居てはいけない。否定したい。そんなのおかしい、と。 そして散るなら今度こそ母親らしく……そんなことを頭の片隅で考えながらカールは鎌を振るい、立ち向かっていった。 371 :名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 04 35 36 ID k6hq5mRR 暗い世界。 全身が泥を被って引きずるかのような重さと気だるさ。 化け物どもの軍勢を掻い潜って【Δ 輪廻する 煉獄の 祭壇】に 辿り着いた俺を待っていたのは無穹の牢獄だった。 あれから何時間が経過したのか……それすら分からねぇ。 意識は完全にこっち側、即ち《The World》に持っていかれちまってるようだった。 敵の親玉が潜んでいると思われるエリアに転送され、スケィスをすぐさま喚び、 片っ端から敵を消し飛ばしたのは覚えている。 カオスゲートを潜る前、大火のオッサンが「勝てよ」と言っていたように、必ず勝つつもりでここまで来た。 でなきゃ報われねぇ。オッサンだけじゃねぇ、他の連中だってそうだ。 「俺は……どうなった…………?」 何も見えないせいで皆目検討がつかない。 けど、身震いする程に嫌な感じのトコってことは理解できる。 ここは人間の居るべき場所じゃねぇ、ここは……死人の匂いがする場所だ! 「おはよう。パパ」 「! 誰だッ……!?」 俺以外の声がする。 何処かで聞いたことがあるようで、聞いたことがないような、女の声で。 黒いインクをブチ撒けたような黒の世界に、まるで最初からそこに存在していたかのように。 女が立っていた。 「また来たのね、パパ。これでもう何度目かな……数えるのも面倒になっちゃった」 「お前は……」 いや、俺は知っている。 ただ知らないと思い込みたいだけで、本当は、この女を、俺は―――――――――知っている。 見間違えるはずがねぇんだ。 銀色の髪と、紅い瞳と、黒のドレスと、紅いリボン。こいつを俺はよく知っている。 「あたしがここに閉じ込められてから随分経つけど、パパはいつも変わらないね」 「お前……セグ、か……?」 俺のことをパパなんて呼ぶ奴はこの世界に1人しかいない。 でも、セグならついさっきまでカールと一緒に居たし、何よりコイツはどう見ても12~13歳って感じだ。 俺の知っているセグは見た目5歳ちょっと、一気に成長でもしない限り、計算が合わない。 しかし俺の口から「セグ」と言う名を聞くと、目の前の女は懐かしそうに小さく復唱を続け、噛み締め始める。 何かを確かめるように。 「……ここは何処だ。どうしてお前以外、何も見えない!?」 「嫌だなぁ。パパはしっかりと視えてるじゃない。 見えない、と思っているのはパパが『視たくない』と思っているだけなのに」 何だと……。 でも、コイツの言ってることも強ち嘘ってワケでもない。 確かに視えはしないが、何かの存在をそこらじゅうに感じる。 この闇の中に、さっきまで俺達が戦っていた化け物どもが潜んでいるんだろうか? いや、気配がない……なのに、何かの気配が確かに感じられる。それもたくさん。 「ヒントをあげるわ、パパ。あたしはね、パパが来る間……ずっとママ達と一緒に居たんだよ?」 ママ……達だと……今、ママ達って言ったのか。 達って、何だよ、複数形じゃねぇか……。もし、こいつが俺の知ってるセグなら、ママってのは……まさか……。 372 :名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 04 36 48 ID k6hq5mRR 「カール……?」 瞬間、世界が開けた。 聖書に出てくるサウロ(パウロ)の「目から鱗のようなもんが落ちた」、ってのはこんな感じだったのかもしれない。 俺には最初から、この光景が視えていたんだ。 なのに俺は、怖くて、目を背けて……こんなの現実じゃない、って勝手に決め付けて……! 彼のは墓場。誰の? 決まっている。 俺の足元やそこらに転がっている躯を見れば一目瞭然だった。 ここは……カール達の墓場! 「なッ……あっ……あぁ……あぁぁぁっ!!!!!」 「パパが来るまでママで遊んでたの。 もっとも、どのママもこの空間に運ばれてきた時点で死んでるんだけどね。 見てよ。ねぇ見て。酷いものでしょう? どのママもロクな死に方してないよ」 腕の無いカールが転がっていた。脚の無いカールが転がっていた。 腹の無いカールが転がっていた。首の無いカールが転がっていた。 カールかどうかも分からないカールが転がっていた。見たことも無いくらいに歪んだカールが転がっていた。 積み重なったカールの山が、何処までも何処までも延々と続く。 AIDAにやられたPCとはまた違う感じでのキルのされ方。何処を見てもカールしかいない世界。 そうだ、俺はここに飛ばされて最初にコレを見て……頭がどうにかなりそうだったから……! 「ここはね、牢獄なの。ううん、拷問部屋って言った方が早いかも」 「拷問部屋……」 「最初にママとあたしがこの空間に飛ばされた時、1人目のママは既に死んでた。 パパも覚えてるでしょう? あの化け物どもに結局やられちゃったの……結構奮戦してたけどね。 以来、あたしはずっとこの空間に取り残されて……次にキルされるママと、パパを待っている」 「次にキルされる……だと……待てよ、それじゃまるで……時間が……ッ!」 「そう。繰り返しているのよ、8日周期で。 あたしとパパ達が初めてホームで出会った日から、化け物達がカオスゲートから溢れてくるまでの 楽しい楽しい家族ごっこの時間がね、もう延々と繰り返されている」 待てよ……ふざけんじゃねぇ……8日間が繰り返してだぁ……? そんなこと、有り得る訳がっ……! 「モルガナ」 「ッ……!?」 「AIDAが作り出した擬似サーバーが『AIDAサーバー』。別名『AIDAの観察室』。 ならあの8日間は……そうね、言うなれば『MOLGANAサーバー』。『モルガナの拷問部屋』ってとこね」 「MOLGANAサーバーだと……ざけんなッ!」 「AIDAサーバーで過ごした時間は、パパ達のリアルではほんの数分の出来事だったんでしょう? AIDAに出来てモルガナに出来ない道理は無いじゃないの。モルガナの力を使えば8日間なんて刹那の時間……ね? モルガナはね、憎くて憎くて堪らないママを殺すためだけに、この8日間を用意したんだってさ」 「セグ……てめェ、モルガナの仲間か……!?」 「それは違う。うーん、元仲間かもしれないけど、今は違うよ」 ただでさえカールの躯の山を見て気が動転しかけてんのに、 コイツの人を小馬鹿にしたような態度は俺の怒りを更に助長させる。 まどろんでいたかのような意識はハッキリとして、ただただ当ての無い憎悪が滾るのが分かる。 「んなコトを言うために……俺が目ェ覚ますまで待ってたってのか……!?」 「だって誰も話し相手がいないんだもん、ここ。 ママはいつも死んだ状態で転送されてくるし、パパはいつもすぐ出て行っちゃうし。 酷い時なんかね、パパはあたしを食い殺そうとしたんだよ? あの時のパパは恐かったなぁ」 「……」 「それにね……よーく耳を澄ますとね、聞こえてくるの。モルガナの呪詛の声が」 373 :名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 04 38 30 ID k6hq5mRR 「呪ってやる。死ね。お前さえいなければ。消えてしまえ。狂え。狂い死ね、って。 ママが8年前、アウラを庇って逃げたりなんかしなきゃ、モルガナはドットハッカーズに倒されずに済んだのに。 MOLGANAサーバーをサーバーとして成り立たせているのは、モルガナの怨念とか執念とか そんな感じのものがプログラムになって動作しているとあたしは考えてる。 そしてママを苦しめ続けるの……7日間の休息の次に、8日目の地獄を与えることで」 「それが……モルガナの……カールへの復讐ってワケか……!」 「《The World》はママのパパ……徳岡純一郎が作ったセカイ。 そのセカイを穢して犯し尽くすことが、ママへの嫌がらせになると思ったんだろうね。 ママ、何だかんだで父親にコンプレックス持ってたし。会ったこともないのにね。 でも何故8日間なのかしら? 8年前に起因するから? それとも八相とかけてるのかも?」 散逸したモルガナ因子……CC社の火事で散逸したのは……碑文だけじゃなかった! モルガナの怨念は《The World》がR:2に移行しても何らかの方法で……誰にも気づかれないように ひっそりと世界に根付いて……カールがこの世界に戻ってくるのを待ってやがったのか……! 蜘蛛が糸を張って、獲物が巣にかかるまでじっと待つように……カールを苦しめるためだけに、こんな茶番……! 「許せねェ……自分の身可愛さに娘殺そうとしたばかりか……カールまで……!」 「パパがいくら吠えたってダメ。いつも結末は決まってるもの。 どのパパも同じだった、だってそうでしょ? 『モルガナは必ず俺が倒す!』とか言ってたのに、こうやってパパもママも 延々とこの空間に送られ続けてるし……パパも、今ここに転がってるママの数だけ死んでるんだよ」 「へっ……その割には、お前だけ1人きりなんだな」 「うん。何かね、あたしは特別なんだって。生き証人にでも慣れって言うのかな」 よーく分かったぜ。 モルガナのクソババアのやろうとしてること、やってきたこと、カールにしたこと。 フザけやがって。フザけやがって……結局は自分の独りよがりじゃねぇか。 とんだ八つ当たりだ。なら俺はどうする? 俺は、こんなとこで立ち止まってる場合じゃねぇ…… アトリに言ったこと、自分ですっかり忘れてた……涙で目ェ曇らせるには、まだ早ぇ! 「くっ……だぁぁぁぁ――――――――――――――ッ!!!!!」 「おぉ、すごーい」 身体を捕らえていた重力球を強引に引き裂き、不安定な力場からの脱出。 さっきまでの気だるい感じはもうないし、外傷もない……手も脚も、ちゃんと動く! 「終わらせりゃいいんだろろうが。モルガナをブッ倒せばよ」 「どのパパも同じこと言ってたよ。でもXthフォームとスケィスだけで勝てると思ってるの?」 「やってみなきゃ分かんねぇ」 「……ま、いいよ。あたしは、次のパパとママが来るのをまた待つからさ」 「もう来ねぇよ」 「どうかな?」 「来ねぇよ。俺が……何千番目か何万番かは知らねぇけど……今度の俺が止めてみせる」 どっからそんな根拠のねぇ自信が沸いてくるのか、自分でも不思議だった。 セグの話が本当なら、俺も今ここに転がってるカールと同じ数だけ死んでる。 そして何も知らずにまた1日目が始まって、8日目に死ぬまで延々と……MOLGANAサーバーに囚われた 俺達は、そんなことも知らずに8日間の非日常を過ごしていく。 けどよ、それももう仕舞いだ。俺が今日、終わらせるから。 「にしても随分とヒネた性格に育ったもんだな、カールそっくりだぞ。お前」 「こんな所にずっと閉じ込められてたら、そりゃおかしくなるって」 「でも……」 「?」 「お前も、もうすぐここから出してやる」 「……期待しないで待ってるよ、パパ」 374 :名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 04 40 28 ID k6hq5mRR ************************ 耳を劈く「パリン!」という音がそこらに響く。 あのしみったれた陰気臭い墓場みてぇな空間をXthフォームの力でブチ抜き、俺はもう一度この世界に戻ってきた。 場所も間違いなく【Δ 輪廻する 煉獄の 祭壇】、戻ってきた、戻ってこれた! 「って、ハセヲ? どっから降ってきたの?」 「……カールか? って、お前、無事なのか!? てか何でここにいんだよ!?」 エリアに戻った途端、化け物の群れの中で鎌を振るうカールとバッタリ会あう。 ちょっ、おまっ、幽霊じゃねぇよな!? 「ん。ブレグ・エポナで戦ってたはずなんだけどね。 何か強制サーバー転送?みたいな感じで移動させられちゃってさ。この子と一緒に」 「うわぁぁーん! パパぁ!!!」 「セグまで……」 もしかすると今回の繰り返しはイレギュラーなのかも知れない。 あの拷問部屋の空間で会った成長したセグは「ここに来た時、ママはいつも死んでいる」と言っちゃいたが、 まだカールは死ぬどころかピンピンしてやがる。何だ、何がその原因を生んだ? 「カール、お前……何か雰囲気が……?」 「これ? Xthフォームだよ。ネットスラムでタルタルガが言ってた眠ってる力、ってのがこれみたい。 ハセヲから貰ったロストウエポンの“万死ヲ刻ム影”も戦ってる最中に使いこなせるようになったし」 今のカールは確かにXthフォームになった時の俺に似てる。 それに加えてロストウエポン……これだ。 どっちが欠けても、あの化け物の軍勢にカールは勝てない。 でも反対に2つの要素が揃えば――――――絶対に負けることはない! 「その顔だと、何か事情掴めたっぽいね」 「あぁ。裏で糸引いてんのは、8年前にお前を追っかけてたクソババアだ」 「へぇ……アイツ、まだあたしのこと恨んでたんだ」 ニヤリと凄む反面、カールは同時に恐怖も感じているようだった。 そりゃそうだ。8年前、スケィスにデータドレインされた時の記憶がまだ残ってるんだろう。 いくらカールが気丈とは言え、当時はまだ小学生だしな。 「それじゃ、ま。役者が揃ったところで……やっちゃおっか?」 「だな」 くだらねぇ因果だが輪廻だかは、今日、ここで断ち切る。 カールを苦しめ続けて、カールの父親が唯一残した遺産の《The World》まで穢そうとする大馬鹿野郎。 いつもなら他人に情けとか干渉は極力しねぇつもりだったけどよ、今回は別だ。 モルガナだけは……もう泣いて謝っても許さねぇ! 「いいぜ……来い……来いよ……!」 「あたしは……」 「俺は……」 「「ここにいるッ!!! スケェェェェェェェェィスっ!!!!」 375 :名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 04 42 53 ID k6hq5mRR 『□□□□□――――――――――――――――――――――――!!!!!』 大鎌を振るい、三つ目の巨人が空間を叩き割って権限する。 サンスクリット語で「地上に降りた神の化身」を意味する名を持つ存在、それが憑神。 その第一相である死の恐怖スケィス。カールの因縁の相手にして最愛のパートナー、俺の分身にしてもう1人の戦友。 その姿はもうかつてカールが従えていた頃の赤布で拘束されたものではなく、神々しいまでの銀と金。 大きく広がる翼は天使か悪魔か……んなこと、どうでもいいか。 分かるんだ……お前は俺とカールの想いが生んだ、全く新しいスケィス! 「スケィス、憑神覚醒(データドレイン)ッ!!!!」 『□□□――――――――――――――――――――――――!!!』 神宿り。 PCの状態で憑神の力を行使できる究極のスキル。 1年前、最後の戦いではみんなの力が集まってやっとAIDAを一掃できた。 今回は俺とカールの2人きり、状況は俄然不利。 けど……けどなぁ。変なんだよ。こんなに不利な状況なのに、誰がどう見ても勝てっこねぇ戦いだってのに。 何でだろう……カールが傍に居るって思うだけで、こんなにも力が沸いて来る! 「俺は……諦めねぇっ!!!」 「元はと言えば、あたしが蒔いた種だしね……きっちり摘み取らせてもらおうかな!」 「パパ……ママ……」 俺とカール、双方から放たれたデータドレインが周囲を取り囲んだ化け物どもを浄化してゆく。 粉雪が光の中で解けて消え行くように……そうだ、もうお前らだって、もう……戦わなくて済むんだ……! エリア全てを埋め尽くす程の閃光、あれだけの数の軍勢が、ほんの数秒で跡形もなく消え去るくらいの眩い光が、疾った。 「やったの?」 「……いや。どーやら親玉のご登場っぽいぞ」 この胸糞の悪い感じ、覚えてるぜ。 1年前、俺達が苦労してブッ倒してやったってのに……まーた蘇って来やがったのかよ。 ……そーいや、ここはMOLGANAサーバーだったか。何でもアリってことなんだろうな。 「……来るっ!」 ズシン、と地響きがした。大地が腐り、腐って泡となった黒き土から異形が這い出てくる。 その体躯とグロい姿、忘れろったって忘れられねぇ。わざわざ茶番のためだけに地獄から蘇ったてか? なら、もう一度冥土に送ってやるぜ。てめぇはケルヌンノスと仲良くやってろ、クビア! 『************************――――――――――――――!!!!!!!』 「おわっ、何アレ?」 「クビア。1年前、俺達が倒したAIDA事件の元凶だ……再生しちまったっぽいけど」 「うぅ……恐いよぉ……」 「だいじょぶ、パパもママもついてる!」 とは言え、ラスボス級の強さであることに変わりはねぇ。しかもセグを守りながら、だ。 俺とカール、2人のありったけの力を込めたデータドレインで1撃で仕留めるしか他に手立てはねぇっぽい (つか、通常攻撃が空まで届かねぇ)。 「カール、データドレインで一気にケリつけるぞ。やれるな?」 「1度は勝ったんだろう? なら、今度も勝てばいい。それだけだよ、ハセヲ」 「恐くねぇのか」 「恐い? きみとあたしなら、絶対に勝てる。そう思ってるだけなんだけどな」 だな。絶対に勝ってみせる。今のお前となら……俺は、誰にも負ける気がしねぇ。 440 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 05 20 25 ID pJbKGJkh 《独白:カールの場合》 『カール。あなた、どういうつもりでロールしてるの? そのキャラはあなたの、何?』 あの時のアルフの言葉は、正直グサリと来た。何だかんだであたし、当時は小5だったし。 自分じゃ悪キャラ演じて大人ぶってたつもりだったんだけど……中身は所詮ガキでさ。 良い子ぶるよりも悪い子のロールやった方がね、気持ち的に楽かな……とか考えてて。 『人嫌いのカッコつけキャラをロールしてるわりには、かまってクンが透けて見えてるのよ。みっともない』 だよねぇ。結局のところさ、あたしは寂しかったんだ。 でも自分から進んで誰かの輪の中に入るのが怖くて、真逆の方法を選んじゃったけど。 特に、男の子が恐い。 あたしの父親の様に。孕ませるだけ孕ませておいて、お母さんの元から去ったアイツ。 父親の存在は今でもあたしの最大のコンプレックス。 そりゃ、父親がいなければあたしも今頃はこの世に生まれてなんかない、それは分かってるつもり。 でも……何か、そういうのって気持ち悪い。 あの人はただ、本能に従って自分の血脈を途絶えさせないようにしたかった、それだけなんじゃないかって。 詰まる所、やってることは動物や虫とかと何ら変わりが無い様に思えてたのね。 生殖なんて、気持ち悪い。トンズラするくらいなら避妊すればよかったのに。哀れみか親切心のつもり? 『親切な奴なんて、いっる、ワっケ、なーい』 楚良はそう言ったけどね、実際いるんだよ。 自分の利益にもなんないのに他人のお節介を進んでるしたがるお馬鹿がさ。 1人目は揺光。 あの子が初心者だった頃、たまたまPKに襲われていたところを 当時PKK兼ハンターをしていたあたしが助けた縁で知り合った。 2人目はハセヲ。 これは揺光の紹介での出会い。初めて彼と会った時、楚良……きみを思い出した。 言われてみれば彼とあたしはよく似ている。別にPCのカラーが似てる、とかそゆんじゃなくて。 昔のあたしに、よく似ていた気がした。似たもの同士が惹かれあうのかどうか、それは分からない。 でもいつの間にか彼は、あたしの心の大部分を占めるようになってゆく。 寝ても覚めてもハセヲのことを考えるようになってから、あたしはやっと自覚を持った。 あぁ、あたしはきっとハセヲが好きなんだな、と。 あたしを夢中にさせた男の子は彼で2人目。1人目の楚良とは……恋と呼べたかどうかも怪しい。 自慢じゃないが、あたしはそれなりにモテる。ただし女の子に。 世間一般で言う“キレイ”にあたしは当てはまるらしく、更には170cm以上ある身長と長い髪のせいで人目に付きやすい。 以前、あたしの高校で“好きな人の下駄箱に携帯のメアドを書いた紙を張る”という 迷惑極まりない遊びが流行した時なんか、朝に登校した時、下駄箱から 紙を撤去するのに時間をとらされてイラついたものだ(その時は女の子以外、つまりは男の子のメアドも幾つかあった)。 好きになるのは個人の自由だと思うけど、その人の迷惑になっちゃ本末転倒な気がするの、あたしだけ? だからあたしは、一定の距離をとりながら彼の傍にいるのを望む。 中途半端はイックナイーイ、とは思うけど……あたしは、ハセヲの日常に入り込めただけで気分が良かった。 セグが現れてからの時間が最も楽しいひと時だったかもしれない。 でも、夢っていつか覚めるもんなんだ。あたしが8年前に未帰還者になった時がそうだったように。 覚めない夢なんてない。でもね、ハセヲ。これだけは確実に言える。 お母さんよりも、おばあちゃんよりも、揺光よりも……ハセヲ、きみを愛している。 あたしも薄々は気づいてたんだよ、この世界が紛い物の世界だってことに。 だから夢が覚める前にもう一度だけ、あたし自身の気持ちを確かめておきたかった……それだけ。さぁ、終わりにしようか。 441 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 05 22 50 ID pJbKGJkh 《独白:segment.A1(セグ)の場合》 幽囚の日々。 モルガナが作り出した隔絶空間に閉じ込められて幾日が過ぎたのか。 あたしはいつの間にか、ママとそう変わらない外見にまで成長していた。 モルガナの言っていたことを信じるとするなら、 この空間に破棄されているママの死体に8をかけた数だけの日数が経過している計算になる。 けど、数える気にもならない。ママの死体が多すぎて、きっと飽きちゃうだろうから。 パパもこの空間に飛ばされるけど、すぐにモルガナを倒すために出ていっちゃう。 あたしが止めても、どのパパも皆、出て行ってしまう。 でも最後に会ったパパだけは違った。もしかしたら、あのパパなら……? 馬鹿みたい。つまらない希望を持ったところで状況は変わらないのに。 モルガナは言ってみれば創造主だもの、カミサマに勝てるワケないじゃない。 『お前も、もうすぐここから出してやる』 あの時、パパはそう言った。 本当にモルガナに勝つつもりなの? 無謀すぎるよ、パパ……。 あたしがこんなにも饒舌にモルガナを擁護するのにはねぇ、ちゃんとした理由がある。 この空間に飛ばされた時、あたしは自分の本当の正体に気づいた。 この8日間を彩るために生み出された、刹那の幻。生まれながらの蛭子。出来損ないの子。 本当のあたしは、最初からパパとママの傍に居たはずなのに。 『見ツケタ。見ツケタ。見ツケタ』 初めてカナードのギルドでパパと出会った時、あたしじゃない誰かの声が頭の中に響いていたのも、予兆。 そしてモルガナから本当のコト聞かされた時、自分で自分を殺せないのをどんなに呪ったか……。 自分がいいように手駒にされてた、って知った時のあたしの絶望感はハンパじゃなかった。 パパ達は知らなかったけどね。8年前、アウラはスケィスにデータドレインされそうになった時、 とっさに自分を3つのセグメントに分割してデータドレインを防いでたんだって。 だったら、1年前のAIDAとの戦いで消滅したスケィスも、“実は”本能的にアウラと 同じことをしていた、って考えることはできないかな? ただし、今回のケースでは2つのセグメントに分割をして―――――――――――――。 一方はママが操る紅いスケィスとして、もう一方は……。 あたしの本当の母親はモルガナだ。母親、というのは語弊があるかもしれない。 所詮は黄昏の碑文から生み出された下僕に過ぎないあたし、モルガナは母親と呼ぶのも恐れ多い存在なのかもしれない。 けど、少なくともあの8日間だけは、あたしのママはカールで、パパはハセヲだった。 過去の記憶が消去された今、それだけがあたしの全て。 それ以前に、こんな所にあたしを閉じ込める奴は母親なんかじゃない。 あたしの使命は墓守、この暗い世界で積み重なったママの死体を見続けること……でも、もうそんなの嫌だ。 ねぇ、パパ。呼んで、あたしの名前を呼んで。本当の名前で呼んで。 パパ達は気づいていない。 ママがパパにあげたスケィスは、まだ完璧じゃない。 パパが名前を呼んでくれさえすれば、こんな空間すぐにでも出て行けるのに。 パパはねぇ、呼び方を忘れてるだけなんだよ。だから1年前のあの時の様に、あたしの名前を呼んで。 ルミナ・クロスでのアリーナバトルで、ボルドーをギタギタにした時みたいに。 あたしが欲しいって、あたしの力が必要なんだって。パパの声を聞かせて? あたしはいつでもパパの味方、モルガナなんてあたしが食い殺してあげる。 10万時間以上の歳月をこの空間で過ごした今のあたしなら、もうパパ達と一緒に戦えるよ。 だから、ね? もう一度、貴方の声を聞かせて。あたしの名前を呼ぶ声が聞きたい。 貴方があたしの名前を――――――――――――――――――――スケィスと呼ぶ声が、聞きたい。 442 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 05 25 16 ID pJbKGJkh 「んぎぎ……ぐがががが……っ……!!!」 「くっ……っ……だぁぁっ……!!!」 「パパ、ママ、頑張って!」 俺とカール、2人で同時にクビアに放ったデータドレイン。 スケィスも居る、俺達2人もXthフォームになっている、なのに! 何故、倒れねぇんだ、てめェは!? 何かが、まだ何かが足りないんだ……この戦況をひっくり返すための何かが……! こうしている間にも時間が迫ってきている。 俺達の力が尽きるのが恐いんじゃない、8日目が終わるのが、今は何よりも恐いんだ! もし8日目が終わる前にクビアを倒すことができなければ、全てが無駄に終わってしまう。 ギリギリだった。際限なく沸いてくる力とは裏腹に、精神的に俺は追い詰められつつあった。 ここで俺たちがクビアに負ければ、またあの8日間を繰り返されることになる。 そんなのはもうたくさんだ。アイツとも、デカくなった方のセグとも約束したんだ。 だから退けねぇんだよ……今回ばかりは! 「ハセヲ……マズいかも……」 「な、何がマズイって…!?」 「スケィスに……ヒ、ヒビが……!」 しまった……! 守りの大部分をスケィスにやらせていたせいで……! それに今俺が呼んでいるスケィスは、元々カールが使役していたものだ。 やはり、インストールしたばかりで俺に完全に馴染めていなかったのかもしれない。 ……泣き言言ってる場合じゃねぇ。今は、一分一秒でも、長く持ってくれなきゃ困るんだよ……ッ! 「スケィス、頼む……あと、あともうちょっとだけ耐えてくれ……!」 『□□……□□□―――――――――!!!!!』 呼応したスケィスの雄叫びが響く。だが明らかに身体にかかった負荷の影響で損傷を受けている。 俺達のやろうとしていることは残酷だ。 スケィスにとっては、もう一度得られた生命なのに、またそれが消え逝かんとしている。 力が、力が欲しい! あのクビアを倒せるだけの力が! モルガナのクソったれな計画をブッ潰せるだけの力が! 「パパ」 「な、何だっ、セグッ……!?」 「あのね、さっきから知らないお姉ちゃんの声がするの。『あたしの名前を呼んで、パパ』って」 「!?」 まさか……あの妙な空間に閉じ込められてた方のセグか!? 「パパの知ってる人? 『本当の名前で呼んで』とか『アリーナバトルの時みたいに呼んでよ』って何度も言ってるよ」 「アイツが……そうか……」 どういう方法かは知らねぇが、あの空間に居た デカい方のセグが小さい方のセグを通して、俺に何かを伝えたいらしい。 本当の名前? アリーナバトルの時みたいに? どういうこった? 俺が今までにアリーナバトルの最中に一番多く呼んだ名前と言や……1つしかねぇ。 でも、そうなのか? お前がそうだったのか? だって、お前は現に今ここで、俺達と……。 『segment.……A1……セグメント、エーワン?』 『セグメント……名詞だと“部分”とか“切片”って意味の英語ですよね、確か』 ! セグメント……切片……カケラ……へっ、へへへ……何となく分かった気がするぜ。そーか、そう言うコトかよ。 いいぜ、呼んでやらぁ。お前ももう、そんな暗いところにいるのは嫌だろう? 出してやるよ。呼んでやるよ。お前が望むように、俺もお前を望むから……! 443 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 05 27 37 ID pJbKGJkh 「来い……」 「ハッ、ハセヲ? 急にどした?」 「来い……来いっ……!」 「パ、パパ?」 カールもセグも、俺がついにおかしくなったのかと思っただろう。 でもこれは必要なこと。俺はアイツを呼んでやらなくちゃいけない。 独りで待ち続けるアイツを、出してやらなくちゃいけない。 お前を初めて呼んだのは、ボルドーとのアリーナバトルだったよなぁ。 あの時は、まだ俺もお前もお互いを分かっちゃいなかった……でも、今なら……今度こそは! 「来い……もう一度来い……俺は……俺達は……ここにいるッ! スケェェェェェェェェェェェェェェェィスっ!!!!」 瞬間、周囲からピシリと氷を砕く様な音が聞こえた。 「むっ、空間がヒビ割れて……!?」 「ママ……!」 俺の祈りにも似た叫びに応えたのか、周囲の空間が砕け散ってゆく。 俺達を覆うように守りに付いていたスケィス、そしてセグが何かに反応するように空間の割れ目を凝視して、呟くのだ。 闇に塗れて落ちてくる少女を、その目に捉えながら。 「……あのお姉ちゃん、だあれ?」 砕けた空間から漏れ出す闇が、このエリアに満ち満ちた光によって掻き消えて行く。 穢れは祓われ光がアイツを満たして行くんだ。アイツにとっては何万時間ぶりの光になるんだろうか。 分かる、分かるぜ。お前は無駄にあの空間での時間を費やしていたワケじゃねぇ。 この日のために、この時のために、ちゃんと蓄えていてくれていた! 力を!!! 「あはは。本当に出してくれるとは思わなかったよ、パパ」 「へっ、へへっ……約束したからなッ……!」 「ハセヲ? この子、っ……ぬっ……ぐぅ……誰!?」 「話せば長くなるからよ……あとでゆっくり説明してやらぁ……それより……!」 「分かってるよ、パパ。アイツをブッ倒せばいいんでしょ?」 物分りが良いのは母親譲りだな(勿論、母親って言ってもカールの方だ)。 セグ、いやスケィスはニコリと笑うと、もう1人の自分……小さい方のセグに歩み寄る。 「セグ、パパとママを助けなきゃ」 「? お姉ちゃん、あたしと同じ匂いがする……どうして?」 「きみとあたしが元々おんなじ存在だから」 「おんなじ……?」 「さぁ、還ろう? パパ達を勝たせなきゃ。ね?」 「う、うん……!」 セグは良い子だった。一瞬にして自分が成すべきことを悟ったらしい。 どんなに俺が邪険に扱ってもパパと呼んで慕ってくれた、8日間だけの俺達の娘。 最初は1人だった。次に2人になって、最終的に3人に……けど、また1つに戻る時がきた。 「辛かったろう、スケィス? ごめんね、もう大丈夫だからね……」 「パパ、ママ、絶対勝とう!」 2人のセグが、スケィスの中へ還ってゆく。 俺達はその光景を、クビアへのデータドレインの衝撃に耐えながら、ただじっと、息を呑んで見届けていた―――――――。 444 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 05 29 51 ID pJbKGJkh 『■■■……□□□□□―――――――――――――――――!!!!!!』 三つの目がギラリと輝き、スケィスが再び光を取り戻した。 ヒビ割れた身体は再構築され、より力強く、より大きな力を伴って。 欠損したセグメント(カケラ)をその内に収めることで、本来の力を今、やっと取り戻しやがったんだ! 「なるほど……今の見て、あたしにも何となく事情が分かってきたぞ……」 「セグは、1年前の戦いでスケィスが消滅間際に分割したセグメント。 1つはカール、お前の所に辿り付けたけど、もう1つは……」 「モルガナに捕縛され、今回の計画のために利用された?」 「あの成長したセグは、ずっと閉じ込められてたんだ……この8日間の繰り返す地獄を見せ付けられるために!」 でも、でももう、それも終わる! 終わらせることができる! 『*******************……!!!!????』 「見せてやろうじゃねーか、カール。家族の絆ってヤツを」 「家族、ね。そうだな、きみの子供なら……孕んであげてもいいかも」 「ばか、そういう意味じゃねぇっての」 俺達がそんな冗談を言えるような余裕が、今はある。 劇的に力を増大させたスケィスのデータドレインに押され、クビアが呻く。 行ける、今度こそ行ける! 終わらせるんだ、俺達の最高の力で! 「クビアァ……!!!」 「いい加減にぃ……!!!」 『□■□■□■□(くたばっちゃえ)―――――――――――――――――――!!!!!!!』 俺とカールとスケィス……いや、セグ達。皆で放った渾身のデータドレイン。 俺達親子の、最初で最後の共同作業。爆ぜる光の中へと全てが吸い込まれ、無に還る。 きっと、この8日間を過ごした俺達の中でここまで辿り着いた例は他にないだろう。 何かが1つ欠けただけでもダメだったんだ。全てが揃った時、モルガナのこのクソったれな計画は瓦解する! 「********……*****……*****************……!!!」 ついに、耐えかねたクビアが短いながらも一際デケェ咆哮をあげる。 断末魔ってヤツだ。崩壊してゆく髑髏と、触手、クビアコア……。 周囲を巻き込みながら、光の中へと解けていくその様は、敵ながら幻想的な光景で不愉快さは無かった。 ******************* 「ふぅ~。終わったな、ハセヲ」 あぁ。終わった……8日間の悪夢は、やっと終焉を迎えることができた。 これまでの繰り返しの中で何人の俺とカールが死んだのか……想像すらできねぇけど……終わったんだ。 ……でも、ちょっと待て。じゃあ、この8日間が終わったらどうなる? モルガナの怨念の集合体とも言うべきクビアを倒しちまったら、この世界は……MOLGANAサーバーはどうなる? 俺やカール、他の連中や、セグは……!? この8日間の記憶はどうなるってんだ……? 456 :名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 03 22 25 ID i3karx3D 1年後―――――。 「三崎ィー。今夜さぁ、合コンあるんだけど来ねぇ? つーか来るよな?」 「あーそお、今日はちょっと」 「何でよ? お前が来るなら他の女の子も来るって言ってんのに」 「スンマセン。今日は彼女と約束あって」 よぉ、俺だ。ハセヲ……の中の三崎亮だ。 何だかんだで俺もとうとう大学生になっちまった。 今は所属してるゼミの先輩に絡まれてるトコ……つか、俺まだ未成年なんですけど。 酒とか飲む気はさらさらないんですけど。前に1度だけ付き合わされた時は 合コン場所の居酒屋でタバコ吸ってる馬鹿が何人かいたせいで煙くて鼻がおかしくなりそうだった。 「彼女? あー、あの背の高い?」 「まぁ……はい」 「でも彼女持ちでも気にしねーって子もいるしよぉ、何か都合つけて断れね?」 「(バカ言え、んなコトしたら俺が後ろから刺されるだろうがッ!)」 潤香は色んな意味で神経質なトコあるからな……付き合いだして身に沁みたぜ。 マジで北海道から東京の大学に進学する辺りは根性が座ってると言うか、何と言うか……。 って、それどころじゃねぇ。 ポケットの中の携帯のバイブがさっきから静かにヴーヴーヴー。 十中八九、潤香からのメールか電話に違いない。 「ま、また暇な時に!」 今の俺、超カッコ悪い。 *************************** 「あたしに気兼ねなんかせずに、行きゃよかったのに」 「そういうワケにもいかねーだろーが……」 「何で? あたしが後ろから刺すとか思った?」 「(包丁持ちながら言うなよ……恐ぇよ……)」 都内の潤香のアパート。 週に1~2回の割合で俺は訪ねることにしてる。 この女、放って置いたらすぐにジャンクフードやスナック菓子に手ェ出して生活バランス崩す天才だし。 事実、コイツが包丁持って台所に立つ姿なんて滅多に見られるもんじゃない。 「つーか、ゴミくらいまとめとけよ」 「次の燃えるゴミの収集日、来週の月曜だし。それに放っておいても亮が片付けてくれるじゃん」 「おまっ、俺に依存すんな。一人暮らしの意味ねーぞ」 「あはは。言えてる」 457 :名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 03 24 40 ID i3karx3D 「東京の物価って高いよなぁ。何でもさ」 「お前、小5までこっちいたんだろ?」 「うん、三鷹に住んでた。けど、その頃は特に何が安くて高いなんて気にしてなかったし」 そりゃそうだ。 俺だって高校入るまでは自炊なんかしてなかったから気にしてなかったし。 でもいざ一人で生活(俺の場合、親の帰りが遅いとか帰って来ない日があるとかそーいう類だが)すると、 確かに「アレ? 俺ってもしかして育てられてね?」って自覚しちまう。 今だって大学まで自宅通いだが、親は相変わらず仕事で滅多に家に寄り付かない(つまり生活は今までと同じサイクル)。 「意識不明から回復した後に療養の意味も兼ねて北海道に越したんだけどさ。 お母さんはそれまで勤めてた病院辞めるし、おばあちゃんは塾の講師辞めちゃうし? 北海道で再就職できるかどうかも分かんないのにさ、今思うとすごい冒険だったと思うのね」 「お前の家族はお前含めて、思い切りよすぎ」 「仁村の女は強いのだよ」 強いのは一向に構わねぇんだが……もうちっと生活を改善した方がいいぞ、お前の場合。 部屋にオトコ呼ぶにしてもそうだ。 床にはゴミやらお菓子の袋が散乱、冷蔵庫にはミネラルウォーターとビール(つーかお前も未成年だろ)だけ。 服やら下着も畳まずに放置、本やら大学の講義で使うであろうノートも床に置きっぱなしと来てる。 何というか……豪快すぎる。 むしろカールだった頃の方がまだ大人しかったんだと、痛感せずにはいられない。 「キャロットジュース飲むー?」 「またコレか……コンビニのサラダでもいいから何かちゃんとした野菜食えよ」 「だってさぁ、野菜って臭いんだもん。冷蔵庫に入れてたら匂いが残るし」 「野菜食わねぇと肌荒れとかの原因になんだよ」 「亮はあたしが肌荒れになっちゃ困るんだ?」 「困るから言ってんだ」 俺が言うのもなんだが、潤香は美人だ。 顔とか身体のラインとか髪とか、道歩いたら10人中7人は振り向いて確認すんじゃないかってくらい。 少し誇張してるか? じゃあ6人に減らしといてやるよ。 だから、俺的には……そういう意味もあって、潤香にはあんま不規則な生活はしてほしくないっつーか……。 「きみはそゆトコ素直だよねぇ。良い子ですねー」 「うっせ。りんご、全部切り終わったのか」 「テーブルに置いといてよ。あたしも手ぇ洗ったら終わりだからさ」 だから俺が果物を差し入れに行くハメになる。 基本的に潤香は肉とか食べないし、かと言って野菜も進んで食べようとはしない(理由は前述した様に、臭いからだそうだ)。 かと言って彼氏だからって強制するのもおこがましいと言うか……ならせめて果物だけでも食え、と。 そういう経緯がある。サプリメントとスナック菓子じゃ、いくら何でも身が持たねぇだろうし。 何か俺、フードコーディネーターにでもなった方がいいんじゃないかって最近思えてきた……。 「りんごってダイエット特集とかでよく取り上げられてるけどさ、効くのかな?」 「さーな」 「あたし、ダイエットとかしたことないからさ。そーいうのよく分かんないんだよね」 「(お前は今、日本中の女を敵に回した……)」 そりゃお前はんな必要ないだろうよ。俺としちゃもうちょっと肉を付けて欲しいくらいだし。 まぁ、出るとこはちゃんと出てるから文句はないんだが、 それでも潤香は俺が定期的に世話に来ないと生活態度改めようとはしないだろうしな。 ぶっちゃけ、手間がかかる。なのに許しちまう。 つーかコレ、普通は逆じゃね? ギャルゲとかエロゲだとダメな主人公をヒロインが更生させるってよくあるパターンなのに、俺の立場逆になってね? 458 :名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 03 26 57 ID i3karx3D 「大学楽しー?」 「普通。高校の時とそんなに変わんねぇよ。 強いて言うなら私服で行けて、授業中にメールが出来るようになったってくらいだな」 「はは。単位は落とすなよー」 「(オマエモナー)」 この女、気分の乗らない日は平気で講義サボるからな……。 相変わらずネトゲ、つまりは《The World》もやってるから始末が悪い。 俺の大学の講義がたまたま全部休講だった日、もしやと思って潤香のアパートに行ってみたら(合鍵持ってる) コイツの大学は1限から4限まで講義ある日だってのに、ベッドの中で熟睡していた。 PCの電源はつきっぱなし、どー見ても寝オチです。本当にありがとうございました。 「あーそうそう。智香がさ、今度東京来たいって」 「揺光も今年は受験生なのにな。大丈夫なのか?」 「偏差値低いなりに、こっちの大学に受かろうって頑張ってるっぽい」 「へぇ」 「反応薄いな、もっと喜べばいいのに。あの子が来たら3人でイロイロ出来るんだよ?」 「ぶはっ! ゴホッ、ゴホッ……バカ言え」 唐突にこう言うことを平気で言うから油断できない。 おかげで飲み込みかけてたりんごが喉に引っかかりそうになったぞコノヤロウ。 付き合いだしてみて分かったんだが、どうにも潤香は温室育ちの天然傾向がある。 まぁ、男手の無い状態で祖母・母・娘の3人でこれまで生活してたんだから多少はしょうがないだろう。 しかも聞いてみれば病弱属性と来た(今は滅多に病気にはかからないらしいが)。 まぁ、それはいい。 でもコイツの場合、小学生の頃からネットしてるせいか妙に頭の中がオッサンみたいになっちまってる。 さっきみたいなエロ発言なんて可愛いもんだ。 「智香だって、きみ目当てでこっちの大学に来たがってるようなもんだし? どうせココに泊まることになるだろうし? そういう流れになったって……ねぇ?」 「お前、それは嫌味だ。彼氏自慢もいいところだぞ」 「おんやぁ、バレた? あはは」 女って生き物はワカラン。 潤香的には智香、つまりは揺光に対する牽制と言うか当てつけみたいな意味合いもあるんだろう。 表面上は仲良さそうに見えて、実情はドロッドロなんてよくある話だしな。 や、巻き込まれかかってる俺が静観できる状況でもねーけどさ。 「まぁ、きみには一応は感謝してる。こうやって侘しい女の部屋に世話に来てくれるしさ」 「ほっとけねーから来てるだけだっての」 「それだけ? 下心とか一切ナシ?」 「……ノーコメント」 嘘です。いつも少しだけ期待してます。 「なーんかさぁ、味気ないよね」 「な、何が?」 「ガキの頃はあんなに大人ぶろうとしてたのに、いざそういう歳になっちゃうと……」 「……」 言いたいことは分からないでもない。 俺もお前も、あと1年すりゃ未成年から成人だ。何か犯罪起こせば実名報道だってされちまう。 社会的責任ってやつだな。 「子供の頃は自分が世界の中心みたいでさ。でも現実知っちゃうと萎えるんだなぁ、これが」 「潤香にしちゃえらくマトモな発言だな」 459 :名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 03 30 35 ID i3karx3D 「一人暮らしするようになってから『あー。あたしって恵まれてたんだなー』って思ったりするしね」 「(さっき俺もそれ考えたぞ……)」 「そう思うと……お母さんやおばあちゃんが、あたしのコトちゃんと育ててくれたんだなって実感沸くんだ」 「なら大学の授業料払ってもらってる分だけ講義も出ろ」 「うん。善処する」 そう言うと、潤香は安堵したように笑った。 カールの時はどっちかつぅーと「クールだけど何か変なキャラ」だったはずなのに 潤香の時はストレートに意見言ってきたり屈託なく笑ったりするから対応に困る。 コイツと付き合うまでは年齢=彼女いない暦だったワケだし、俺は当然、女の扱いなんか分からねぇ。 つーか誰かと付き合うなんてコト自体に興味がなかったからな……。 俺の高校生活の約1/3は志乃の意識不明事件の解明と見舞いだったワケで。 それに潤香は相手によって態度を変えるフシもある。 同い年のクセに少し演技がかった大人な態度を見せられた時は、いつものコトなのに何かやりづらいし。 「ところでさ」 「……」 「今日、泊まってく?」 「……は?」 「泊まってきなよ。どうせ両親、今日も帰ってこないんだろ?」 まぁ、実際そーだけどよ。 明日も講義あるしな……仮に朝早く起きて電車乗って家に戻れば……ギリギリでガッコの準備できるか? 潤香のアパートに来る時は食材しか持ってこないから……今度からは朝帰りできるように考慮しとくか。 つか、俺そういやコイツの彼氏だった。自覚ねーのも困りもんだ、我ながら。 「遠慮しなくていいじゃん。知らない仲じゃないんだしさ」 「そ、そりゃな」 でも、ココには何度も来てるけど泊まるのは初めてだし……いいのか? コレってアレなのか? 潤香の方から誘ってるってことなんだよな? オトコに「泊まってけ」ってそういう意味だよな? 付き合ってんだ、いつかは通る道だろう。 でもまだコイツが東京に来てから本格的に付き合いだしたんだし、まだ早すぎね? それともキスくらいで満足してた俺がガキなのか? もしくはもっと率先してそういう行為に踏み切るべきなんだろうか? 分からん! 「彼女の部屋に泊まってくのって、普通だと思うんだけど」 「いや、何つぅか……お前から誘ってくるとか、思ってなかったみたいな?」 「おいおい。カールの時から結構それとなーく誘ってたじゃん。きみはあたしの好意を全部スルーしてたのか?」 「や、そういうコトじゃねーんだが……人付き合いとか、よく分かんねーし……」 「それはあたしもお互い様だよ。むしろ、きみはあたしよりも社交的じゃん。 他人拒絶すんのがカッコイーとか考えてたあたしに比べりゃ、マシだって。 で、泊まるの? 泊まらないの?」 「……泊まる」 男は度胸、何でも試してみるものさ。 でも俺としてはもうちょい準備期間を貰ってから潤香としたかった それでもいつもコイツのアパートに来る度、ちょっと期待はしてたけど。 今日はそのまま帰ることなく、コイツは泊まって行けと言う。俺はそれに応じた。 この後の展開は俺の度胸が試されるパターンだよなぁ、どう見ても。 いや、興味がないワケじゃない。潤香みたいな美人が彼女ってだけでも勿体ないのに(性格は問題ありまくりだが)。 「な、なぁ。今日は……つまり……えぇとだな……」 「ふふ。緊張してんの? らしくないゾ」 明らかに余裕を含んだ笑いを潤香は浮かべている。それに対して俺の何と余裕のないこと。 今更こう言うことを言うのも何だが、俺も実はネット弁慶なんじゃって気がしなくもない。 だってそうだろ。ハセヲの時はあんなに強気なのに、潤香を前にした俺の弱気ぶりを見ろ。我ながら情けなくなってくるってもんだ。 515 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 04 09 07 ID a30BTkJn 『ドク。未来からこのメモを持ってきたんだけど、字が消えちゃったの……』 『そりゃあ消えて当然だ』 『どういうことですか?』 『君達の未来はその紙のように、まだ真っ白ってことだ、誰の未来もな。 未来は君達自身で作るんだ。素晴らしいものにしなきゃ、君達2人で!』 『……きっとそうするよ!』 潤香がシャワーを浴びている間、何となくテレビを見て俺は気を紛らわす。 つーか、見てるようで見てないと言った方が正しい。 「泊まっていけ」と確かに言われはしたが「ヤろう」とは一言も言われていない。 なのにさっきから心臓の脈打つ速度がハンパない。 否応なしに自分で期待しまくってるのが分かって、軽い鬱になりそうだった。 『ねぇドク! これから何処へ行くの!? また未来の世界へ?』 『いや、もう行って来―――――――――――――――――――――プツン』 堪り兼ねてついにテレビの電源を切る。 が、これがマズかった。 浴室から潤香がシャワーを浴びる音がより一層聞き取りやすくなったから。 この程度でオロオロする男って傍目から見てもすげぇ情けないと思う。 それが自分なら尚更なワケで。 潤香が上京してまで東京の大学に通おうと決心したのは、どう考えても俺の側にいるため。 それは分かってる。 俺自身、誰かにそれだけ想われたことなんてねぇから内心嬉しくはあるんだが、 彼女居ない暦=年齢だったせいもあって未だに付き合って一ヶ月以上経つのに接し方とかが分からない時がある。 エキセントリックな性格の潤香なら尚のことで、俺がアイツに振り回されるケースが殆ど。 だからこそ、男尊主義ってワケじゃねーけど……こういう時くらい、俺がアイツをリードしてやらなきゃとも思うんだ。 「なーに気難しい顔してんの?」 「……で、出たのか」 「うん」 あーだこーだと悩んでるうちに潤香がバスタオルを巻いて戻って来る。 ……今更だけどスタイルいいな、コイツ。長い髪が白い肌に張り付いて、何だかドキドキする。 が、バスタオルは背の高い潤香の身体を覆うにはややサイズ不足。 脚やら胸を隠しているようで隠せてないのもエロさを引き立てていて目のやり場に困る(でも一応は見る……)。 つーか、自分で病弱だと公言していた割に反則っぽい身体付きしてんのは詐欺なんじゃないだろうか。 「こら。じろじろ見るのはリアルでもネットでもマナー違反」 「お前が言うか?」 色々と違反してた潤香にそれを言われるとは思わなんだ。 でも当の本人は俺の思惑を見越しているらしく、見られても全く気にする様子もない。 仕舞には冷蔵庫に入れておいた缶ビールを取り出して風呂上りの一杯と洒落込んでる。 ……って、ちょい待て。お前、俺と同い年だから未成年だろ? 「堅いこと言いっこなしだって。これから車の運転するワケじゃなし」 「(……気にしたら負けか)」 右手に缶ビール、左手にハンドタオルを持ちながら潤香は機嫌よく笑った。 好意的に考えれば、これからの景気づけの一杯なのかもしれない。 が、否定的に考えれば、酒でも飲まなきゃやってられないとか思ってんじゃないだろうか? ストレートな物言いをする反面、潤香はどっか気難しいとかあるしな……杞憂だといいんだが。 「ほらほら。亮も入ってきなって」 「わーった、わーったから……はぁ」 516 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 04 12 47 ID a30BTkJn 「(俺、何やってんだ?)」 洗面所でガシガシと頭をタオルで拭きつつ、鏡を見ながらそんなことを思う。 何というか、ここまでの展開をおさらいしてみても俺が尻に敷かれてる感が拭えない。 そりゃ確かに俺は人付き合いが苦手な基本ヘタレかもしれない。 けど、好きになった女の前くらいじゃ男らしくありたいとも思ってる。 でも最近は男らしさの定義も曖昧になってきてるからな……潤香は熱血とかそーいうの大嫌いだし。 常に斜めの目線で世の中を見てるような奴だから、俺と気が合うのかもしれねーけどな。 「(まぁ……なるようになるか)」 潤香が男を相手にするのが初めてかどうかなんて、この際問題じゃない。 俺はそーいうの、別に気にしねぇし……どっちかつーと俺が初めてなワケで。 仮に今夜ヤれるとしても潤香を満足させることができるのか? それが問題だ。鼻で笑われた日には落ち込むなんてもんじゃねぇぞ、多分。 「(でもこんだけ期待して今夜なーんにもなかったら、俺がすげぇ馬鹿になるんだが)」 ホント、あの女は男を惑わす天才だ。 まーそう言うトコが魅力的でもあるんだが。 「耳の後ろとか洗った?」 「ガキじゃねーんだ、きっちり洗ったっての」 「ん、感心」 俺がシャワーを浴びてる間に着替えたらしい潤香が、2本目の缶ビールを片手に機嫌良さそうに笑う。 ドライヤーの類がないところを見ると髪は自然乾燥派だろうか。 確かに潤香くらいに髪が長いと、ドライヤーの長時間の使用は髪を傷めてしまうかもしれない。 さらさらした長い髪には何度か触らせてもらったことがあるんだが、 いつも手触りが良くて良い匂いもするし俺は結構好きだ。美容院とかはどーしてんだろうな。 「泊まってけ、って言っておいてアレなんだけどさ。ベッド1個しかないよ」 「見りゃ分かる」 「亮はどしたい? 床で寝る? それともあたしを押しのけてベッドで寝る?」 出た、潤香の2択。 いっつも自分に有利な方(もしくは面白い方)に話を持ってこうと、 コイツは巧みな話術で俺や揺光を誘導しようとしてくる。 んが、俺だってネットとリアル含めて1年以上も付き合いしてるんだ、もう引っかからねぇぞ。 「そりゃお前……何、俺の口から言わせたいってのかよ」 「まさかきみは、あたしに床で寝ろって言うの?」 「俺だって床でなんか寝たくねーよ。かと言ってお前を床の上に寝かせるつもりもねぇ」 「じゃあ、どしたい?」 「……一緒に寝りゃいいじゃん」 明確な答え、つーかこれしかねーだろ。 誘ったのお前だし……彼氏を家に泊めるっつったら、こういうことになるって予想くらいできるだろ? てか明らかに俺がこういう行動に出るように仕向けたように思えるんだが。 「おぉぅ? あたしと寝たいとな?」 「文句は言わせねーぞ。今日は俺だってちょいマジだからな」 517 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 04 15 41 ID a30BTkJn 「亮ってば大ー胆。 ハセヲの時にもそれくらいの甲斐性見せればさぁ、揺光やアトリやオバサンだってきみのコト――――――ー」 「こーいう時に他の女の名前出すな」 やや酒が廻ってハイになっているのか、潤香はいつも以上に饒舌に思える。 無口って程でもねぇが、多弁ってワケでもねぇ。 俺と居る時ならともかく、相変わらず他人とは一定の距離をとりながらコミュニティ形成してるからな、コイツ。 んが、今夜はグダグダ言いっこなしだ。 ほぼ缶ビールが空になった頃を見計らって、潤香の身体をベッド越しに追い詰めてみる。 予想はしてたっぽいが、抵抗することもなくすんなりと進んでベッドに倒れこんでくれたのは コイツも……俺としたいから、ってコトだろうか。 「……酔っ払い押し倒してどーする気?」 「お前、酒強いだろ」 子供の頃、一時期とは言え潤香は劇団に所属してたことがあるらしい。 だからなのか、カールの時も芝居がかったロールをしていたのは強く印象に残っている。 まぁ《The World》でロールするのって全然変じゃねぇから別に浮いていたとは言わねぇよ。 ただ、今こうして俺と過ごしている仁村潤香は、俺に見せている笑顔なんかも演技なのかとたまに考えちまう。 ……考え損かもだけどな。 「女の子押し倒すの、初めて?」 「お前が“女の子”かどうかはともかく……まぁ、初めて、だな」 「酷っ。19はまだギリギリ女の子だろ」 こっからどうするべきなんだろうか。やっぱ最初はキスか? いや、何か明るいとヤりにくいから電気消すのが先か? つか、こうなった以上は俺がコイツの服とか脱がすんだよな? できるか? 女の服なんて一度も脱がせたことないのに? いきなり難易度高くね? 「あーダメだって。いざ実行する時に迷っちゃさ」 「わ、わーってる!」 「んじゃさ、最初は抱いてよ。ぎゅって」 俺が手ェ出す前に潤香からリクエストが来たのが意外だった。 が、キスに比べりゃ幾分マシな注文なのが幸いかもしれない。 こうやって潤香の顔を見下ろしてるだけでも恥ずいのに、順序を踏まずにヤろうなんて やっぱ俺はまだ《The World》を始めたばかりの頃のヘタレが治ってねぇのかも……。 「あたし横向くからさ。あたしの頭に手、回して?」 「こう、か?」 シーツに広がる潤香の髪を掬いながら、小さな頭を胸に抱いてやる。 徐々に頭から背中に手を動かしてみると、背が高い割に肩幅は俺よりも小さいってのがよく分かった。 つか、コイツ服の下に下着着てねぇ……胸の感触が服の布越しから嫌と言う程伝わってくる。 が、俺がそんなこと考えてるのは最初から予想の範囲内ってくらいに潤香は落ち着いた態度を崩さない。 むしろ、わざとらしく身体を俺に押し当てて自分の存在をアピールしてるようにも思えた。 あー今考えたらカールの時も結構こんな感じで身体密着させてきてたよな……ゲームの時には当然 感じることの出来なかった軟らかな人肌の感触、それも潤香の感触がモロに伝わってきてクラクラしそうだ。 「亮はあったかいなぁ」 「いや、潤香、お前……引っ付きすぎ……」 「あたしは親に似て体温低いからね。亮はぬくくて気持ちいいよ」 必要以上に密着する身体。潤香の髪から匂うシャンプーの香りが心地いい。 最初からこういうコトするの前提でコイツんちに泊まったんだから、俺のやってるコト、変じゃないよな? 518 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 04 18 13 ID a30BTkJn 「北海道は体温低いとやってらんないよ。 図書準備室にエアコンとストーブなかったら図書委員なんて寒くてやってらんないし」 「……潤香の肌が白いのも、体温低いのと関係あんのか?」 「どっちかってゆーと、あたしの虚弱体質に関係してる。 前にも言ったけど、ちっさい頃は結構病気とかしてたし? 未帰還者になった後も病院暮らしが長かったからね。まー、その後に急に背が伸び始めたんだけど」 「……」 「病院食って最悪にマズかったんだけどさ、栄養だけはあったぽいね」 「お前、その頃から偏食家だったんだな」 何となく、潤香の謎が分かってきた気がしなくもない。 意識不明でブッ倒れるまで、コイツはお菓子やらで腹を満たしてた。 潤香の親は当然、《THe World》が原因だなんて思うはずもなく、拒食症が原因でブッ倒れたと思うだろう。 結果、病院で嫌々ながらも真っ当な食事をさせられて、成長期だった潤香は急成長した……ってのは大いに考えられる。 それでも病弱体質だけは治らなかったみてぇだが。 「でさ。次はどうしよっか」 「つ、次つぅと……?」 「このまま朝まで抱き合ってるだけ? 亮のココは……そうは言ってないみたいだけど?」 「お、おいっ、触んな!」 なるべく悟られないように下半身は密着させないようにしてたのに、 潤香はお構いなしにさっきから膨張を続ける俺の下半身に手を伸ばしてくる。 ズボンがきつくなるくらいに膨れた部分を指でつぅと触れられただけで、ビリビリ来るような感じがした。 やっぱ、自分で触るのと他人に触られるのとじゃ、全然違う……。 「さっきからあたしのお腹に熱いのが当たってると思ったら……もう準備オッケーなんだ?」 「ば、ばか、そんなんじゃねぇよ! 軽い興奮状態だ、気にすんな!」 「軽い、ね。まぁ、あたしの身体にドキドキしてくれてるってのは確かみたいだし、信じてあげてもいいけどね」 俺がこんな風になるのも潤香の計算のうちだったんだろうか。 待て、冷静になれ、俺。もっと大人らしく振る舞えよ。コイツのペースに乗せられるな。 主導権は俺が握るんだ。最初に押し倒したのも俺なんだしな。 いつもいつも俺がそう上手く乗せられると思ったら大間違いだぜ、潤香よぉ。 「抱っこはもういいや。次、キスしたい」 「いいぜ、やってやるよ」 「おぉ、強気。じゃあ、あたしも」 「って、おいっ!?」 横になっていた潤香が体位を変え、今度は俺が押し倒されたような姿勢になっちまった……。 俺の胸に手を置いて、体重をかけながら俺の顔に潤香の顔が近づく。 もう片方の手で長い髪が俺の顔にかからないようにしながら、潤香の吐息が聞こえる範囲くらいまで唇が近づく。 普段、他人の唇なんて滅多に見ようとも思わねぇけど、潤香の唇は綺麗だった。勿論、潤香自身も。 北海道で過ごしてた割にはヒビ割れなんかもねぇし、やや薄い桜色の唇から歯と舌が覗く。 「んっ……っ」 「ん、んっ、っ……」 目と目が合った瞬間どちらからってワケでもなく、俺達は目を閉じ合って……長いキスを始めた。 519 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 04 21 02 ID a30BTkJn 潤香はキスが上手い。 子供の頃からネットに慣れ親しんでいた潤香はエロサイトなんかから動画をダウンロードしては 親に隠れてコッソリ見ていたらしい(当然、ダウンロードの痕跡は一切消して)。 コイツ的には男と女の生殖行為……まぁ、セックスに嫌悪感があったらしいんだが、 嫌悪感はありつつも興味あったらしい。まぁ、多感な時期だから分からなくもねーけど。 高校生になってからは揺光(智香)って言ういぢめやすい後輩も居たのも手伝って、 揺光を使って色々と俺との対面前に予行練習をしたとかしなかったとか (前に揺光が顔真っ赤にしながら、潤香の赤裸々なセクハラ行為がどんなものか教えてくれた。南無)。 だから……コイツはキスが、上手いんじゃねぇかって思う。 「んんぐ……ぅ……っ……!」 「んぅ、んっ、ん……」 舌の動きがエロい。 唇が重なった途端に俺の口の中に滑り込んで、俺の舌を撫で回してくるから。 俺だってヤられっぱなしは性に合わねぇし、こっちも舌で潤香の舌を絡めとってやろうと画策する。 んが、潤香はそんなの簡単にスルーして俺の歯茎や歯を舌で舐め回してくるんだ。 傍目にゃ分からんねーだろうけど、俺の口の中で必死の攻防が行われてんだぞ。 悠長にこんなコト言ってる暇なんて、ホントはない。 髪を押さえていた片方の手も投入して潤香は俺の身体を押さえつけて、少しでも抵抗しないように圧力をかけてくる。 唇の向きが少し変わる時、互いの歯が擦れてカチッって小さな音が聞こえた気もした。 それにこんなに長い間、キスをしていれば潤香の唾液が重力に引かれて俺の喉に流れ込んでもくる。 前は急いで飲み込もうとして咽たけど、今度は何とかゆっくりながらも飲み干せそうだった。 俺の喉がゴクッと鳴って喉仏が上下するのを確認すると、潤香の舌はようやく動くのを止めてくれる。 ……今日も長ぇキスだったな。 「今度はちゃんと飲めたんだ?」 「ケホッ……まーな」 「えらいえらい。いや、えろいえろい?」 「どっちでも良いっての……ふぅ、すぅ……」 キスの後の呼吸がやけに心地いい。 鼻で息をしても良かったんだが、鼻息のせいで潤香に離れられても困るし、 俺はあえてキスの時は呼吸を止めてからするように心がけてる。潤香もまた然り。 相手に嫌悪感を持たせないようにキスするテクなんて、どーすりゃあんな自然に身に付くんだか……。 「最近ご無沙汰だったからさ、さっきのはあたしなりに頑張ってみたんだけど」 「歯茎とか歯の裏舐めるのはやめろ。何つーか……普通のキスでよくね?」 「普通じゃ満足できないから却下」 「……まー、お前が普通で満足するとは思ってねーけど」 何だかんだで潤香は今のキスに満足したらしい。 口から毀れた唾液を指で拭いながら舌でもう一度舐めとっている姿はいつもながらエロくて良い。 よくスナック菓子なんかを食べ終わった時に潤香がよくしている仕草は、 こういう時に見ると尚更エロく感じるから不思議なもんだ。唇だけじゃなく、舌の色艶さえも綺麗に思える。 真っ白な指と切り揃えられた爪……食ってみたい? 馬鹿言え、俺にはカニバリズムの趣味はねぇぞ。 「ね。服、脱がして。シワになるから」 風呂上りにしては少し冷たい潤香の手が俺の手を取る。 本人の言う通り体温はやや低めらしく、俺の手の方がずっと温かく感じられた。 導かれるままに服に手を添えると、潤香の身体の中でも一番軟らかい部分の感触。 病弱属性を否定するかのような、この年頃にしちゃ十分合格点のサイズの胸。触る前に、服の上からでも十分に形が分かる。 「やっぱ亮の手って……ぬくっ。あたし専用の手にしたいね」 613 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15 42 30 ID c9CRcdlR おまいら乙 亮×潤香完結編投下 614 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15 45 38 ID c9CRcdlR 「亮ってさ」 「あん?」 「おっぱい好きなの?」 「……何でそうなるんだよ」 「や、だってさっきからすごい一生懸命あたしの胸、吸ってるし」 吸っていい、って言ったのお前じゃん。 むしろこの状況でコレを吸ったり触ったりできないのは拷問だぞ。 揉めば弾力あって気持ちいいし、吸うと……やべ、何か俺ってもしかしなくても変態なんじゃないだろうか。 この場合、俺をそんな気にさせる潤香が悪いんだが。 「お母さんいないと寂しい?」 「んなワケねーだろ。俺が今いくつだと思ってんだ」 第一、俺のかーさんはまだ死んじゃねーぞ。 「精神的に乳離れできてない人って結構いるらしいよ」 「そこまで飢えてねぇ」 「そう? あたしはまだダメだな……父親のコト、心のどっかで引きずってる」 「……」 そういや、潤香の両親は離婚してたっけか……。 お袋さんと婆ちゃんの3人、男っ気なしの家庭で育ったんだろうし、 多少のコンプレックスとか持ってても仕方ねぇとは思うけど……何か、潤香にしちゃ意外だ。 「どーしてもね、男の人のコトを心の底から信じるコトができない。 完璧さを求めちゃう。そんな人、どこにもいるはずないのね……。 離れられるのが恐い、だからあたしの方から距離を置くことにしてた。そーすりゃ、傷つかずに済むでしょ?」 「……俺と最初に知り合った頃の“カール”は、そうだったかもな。じゃ、今はどうなんだ?」 「今は……きみに夢中」 さっき俺が潤香を抱きしめたように、今度は潤香が俺を抱きしめてくれた。 コイツの胸の鼓動が耳元で直に聞こえるくらいに、近く強く。 軟らかい胸の感触と肌、風呂上りの潤香の匂い、五感で感じるコイツの全てが愛しい。 他の男になんか譲りたくない、俺のモノにして留めておきたい、そんな気分にさせられる。 潤香の魅力を、改めて思い知らされちまう……。、 「亮がしたいなら、もっと乱暴にしてもいいよ? 胸を鷲掴みにして押し倒すとか、髪掴んで羽交い絞めにするとかさ」 「俺は鬼畜か。つか、強姦の趣味はねぇ」 「それは残念」 「潤香……レイプ願望でもあんのか?」 「亮ならされてもイイ、ってコト。他の奴にされるくらいなら舌噛んで死んだ方がマシ」 想われてるのは素直に嬉しいんだが、コイツもコイツで何か屈折した愛情表現するからな……。 昔は《The World》に悪意と毒をバラ巻くとか中二病みたいなことやろうとしてたらしいし。 もしも潤香がその頃のままでPKトーナメントとかに参加してたらどーなってたんだろ。 やっぱ「あたしの時代が来た!」とか「咲き乱れろ、悪の華!」とかワケ分かんねーこと言ってたんだろうか。 とりあえず、更生させてくれた揺光には感謝しとかねーと。下手すりゃアウラ絡みで敵対してたかもしれないしな。 「……俺は今の潤香でいいや」 「は? 脈絡なく、何?」 「エロいことさせてくれて、してくれる潤香が好きだってことだよ」 「そう? そう言ってもらえると、あたしも嬉しい」 615 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15 48 34 ID c9CRcdlR 「きみのこと考えてると時間が経つのもあっと言う間」 「俺のこと?」 「講義中、暇な時は亮のことばかり考えてるよ」 「おまっ……授業料もったいねーだろ」 「あはは。あたしが留年したら、きみのせいだな」 「あのな……」 潤香に限ってそりゃねーとは思うけどな。 コイツだって自分ちの経済状況くらい把握してるだろうし。 ぶっちゃけ、これからは俺もコイツのこと支えてやらねーといけないワケで。 ただ潤香の良いところは他の女と違って、無闇にデート中に「あれが欲しいこれが欲しい」と強請らないことと ブランドもんとかに全く興味がないことだろう。 曰く「死んで墓の中に持ってくことできる? できないっしょ?」だそうだ。 これまでにコイツとのデート中に強請られたもんと言えばキスくらいのもの。 あとは……カール? ディスカウントストアで安売りになってるカールを定期的にやることくれぇかな……。 手間のかかるようで、かからない。いや、かかってるんだろうか? ……でも好きなんだ。 「んー? 亮のココ、さっきよりおっきくなってない?」 「……かもな」 「あたしもいっつも会えるってワケじゃないからさ、 会えない時は我慢しなくてオナニーとかやっちゃっていいんだよ?」 「いや、けどよ……そう言うのって何か……」 「妄想であたしを穢すのはNG?」 「それもあるけど、せっかく付き合ってんだから1人でするよりは……」 「あたしとしたい?」 「……うん」 こういう時の俺はヘタレ全盛期のハセヲの時と変わってねぇっぽい。 あの頃から受身体質だったしな……。ここは「うん」じゃなくて「おぅ」だろうが。 今19だぞ、俺。「うん」が許されるのは工房までかラノベの主人公くらいのもんだろうよ。 「でもね、亮。オナニーしないとガンになるよ。なってもいいの?」 「オナニーやり過ぎるとハゲるとも聞いたぞ」 「ガンになるのとハゲるの、どっちがいーの?」 「どっちも嫌に決まってんだろ……」 「じゃ、今日はいっぱい出しとかないと。きみのためにもね」 「……」 オナ禁何日目だっけか……。 潤香とヤるのは今日が初めてだけどな。 俺が奥手なのか潤香が積極的過ぎるのか……こんなんなら、もうちょい早めに誘えば良かったかも。 でも潤香も東京に戻ってきたばっかだったからな……会っていきなりヤるとか、そりゃいくら何でもねぇよ。 俺だって順序踏みながら付き合いてぇし。 「ジーパン、あたしが脱がしておっけー?」 「あ、あぁ……」 エロゲとかなら口でチャック咥えながらモノを取り出したりすんだろうけど、現実はそうはいかない。 俺がくだらねぇこと考えている間にも、潤香は俺のベルトをいそいそと外していく。 トラは……良かった、まだ濡れてねぇ。勃ってるといや勃っちゃいるが、カウパーまでは出てなかった。 「ふいじゃ、あたしのも脱がせて」 「……いいのか?」 「ギブアンドテーク。上だけ裸じゃ中途半端だし」 616 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15 50 57 ID c9CRcdlR 普段から食べているもののせいか、潤香には余計な肉がついていない。 透き通るくらいに真っ白い肌と相まってビスクドールみたいな印象がある。 さっきの風呂上りの時もバスタオルを巻いた姿を見たはずなのに、潤香の脚の白さに驚いちまう。 下は……もしかして剃ってるのか? そんなに茂っちゃいない様だった。 けど、いつも2人で居る時間を共有してたのに、いざこうやって互いに何も着ずに向かい合うと 何からくっちゃべればいいのか全然分かんね……つか、やっぱ潤香、綺麗だ。 「……」 「どしたの?」 「いや……」 「裸ならさっきから見せてるじゃん。今更になって見惚れた?」 「う……」 図星だけに何も言い返せないのが悔しいんだが……つか、お前がエロい身体してるのが悪い。 潤香は今まで男から言い寄られなかったんだろうか? 今になって彼氏気取る俺も馬鹿だけど。 こんだけキレーな顔と身体してりゃ男がほっとくはずがねーと思うんだけどな。 まぁ、性格はちょっと問題あるが。やっぱ玉砕した奴多そうだ。 「それじゃさ。早速挿れてみよっか」 「い、いきなりか?」 「だって亮、見てるこっちが辛くなるくらいおっきくしてるし。 舐めたりするのはまた今度ってことで。あ、生のままで大丈夫だから」 舐めてくれるのはありがたいが、どーせなら胸でゲフンゲフン。 でもその間にも下半身に血液が集まってデカくなってきてるし、少しずつだけどカウパーも出始めてる。 潤香に触られた時、竿の部分にヌルッとした感触があったのは俺のカウパーが流れて コイツの指を汚したせい……まだ胸吸って裸見ただけだってのにもう我慢できねーのか、俺は。 最初からクライマックスとかシャレになんねぇ。 「亮って下の毛、あんま多くないね。剃ったりしてるの?」 「な、何で、んなコト聞くんだよ……」 「最近は女優にフェラさせる時にさ、しやすい様に事前に毛剃っちゃう男優多いんだって」 「……」 ……お前、そういうことは詳しいよな。耳年増? 「なぁ、見るなとは言わねぇけどさ……俺としちゃ、あんま……」 「分かってる、もう見ないよ。そんなの見なくても、亮がしてくれるもんね?」 「……まぁな」 第一、そーいうのに出てる男のアレと比較されたりしても困るし……。 それよりも、潤香に他の男の裸なんか見てほしくねーよ。 とりあえず潤香はもう見ないと約束してくれたんで、心なしか安堵する。 俺、もしかして自覚し始めたのかもな……コイツの彼氏ってこと。 「あたしが上になってもいい?」 「構わねぇけど……騎上位、好きなのか」 「ん。やっぱ誘ったのあたしだしさ、今日はあたしが亮を悦ばせてあげなきゃいかんと思う」 そう言いながらマウントポジションを確保するべく、潤香が俺の腹に乗っかってくる。 潤香に胸の辺りを摩られると、それだけでゾクゾクしてきて堪らない。 コイツが俺の身体に顔を近づける度に、長い髪の毛が身体に触れることすら刺激的でヤバイ。 さっきのお返しとばかりに俺の身体を舐めてくる潤香がエロくて、挿れる前から射精しそうになる。 「あたしもいい感じに濡れてきたし……挿れるよ?」 617 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15 53 41 ID c9CRcdlR 潤香が俺のを掴んで、自身の膣の入り口に当てる。 もうカウパーで濡れていた俺のに対して潤香の方も受け入れ準備はOKだったらしく、 俺の腹を淫水で濡らす程になっていた。されるより、した方が燃えるタイプなんだろうか? 先端に感じる肉の感触は、言葉じゃちょっと表現できねぇ……中に挿れたら、どうなるのか……。 方向修正を終えたら、あとは体重に任せて腰を落とすだけ。潤香の身体は少し震えている。 恐いのか? 「じゃ……いくよ……?」 「ん……」 「くぁ……っ……うぁ……ぁっ!」 何か擬音で表現するなら“ズブリ”とか“ブチッ”とかそんな音なんだろうか。 熱い肉の壁に包まれながら進んで行くのが最高に気持ちいい。 少し狭いとも感じたけど、肉が擦れる感触がすげぇ刺激になって今にも射精したいくらいだ。 が、潤香の方はかなりの苦痛らしい。コイツがこんなに顔を歪めて苦しがるのは初めて見た。 「じゅ、潤香? 痛いのか?」 「痛いけど……我慢するから……へーき……」 驚いた。少し上ずった声で、脂汗と涙を浮かべながら小さく笑う潤香の姿に。 やっぱ男にとっちゃ気持ちいいもんでも、女にとっちゃ最初は最悪らしい。 自分の腹の中に異物受け入れるんだしな……他人と距離置いてた潤香なら精神的にも そーいうの嫌ってた感じだし。俺を受け入れてくれたこと、ホントはコイツにとっても……。 そう思うと、ますますコイツが可愛くて愛しい。手をとって、握り締めて、少しでも感じたくなるくらい。 「亮の……おっきくって、熱っ……挿れるって、こんなんだったんだ……。 はは、見るのとヤるのとじゃ全然違う……」 「まだ動くの、マズイよな?」 「し、したいなら……すぐでも動いて……」 「痛いままさせられねぇっての。一緒に気持ちよくなれねーと、意味ねーし……?」 「あはは……亮はやさしーねぇ……」 いつも気丈な潤香がここまで苦痛に感じるってことは、相当なもんなんだろう。 挿れてるこっちとしちゃ最高でも、あっちにとっちゃ最悪。やっぱ、誰でも最初ってこんな感じなのか。 俺のはもう潤香の子宮口あたりにまで届いたらしく、それ以上進む気配がない。 この状態で出し入れして、お互いの快感を高めりゃいいのか? 潤香には悪いとは思ったんだが、擦ればメチャクチャに気持ち良さそうで早く試してみたい。 でも潤香に無理をさせるワケにもいかない。射精もしたいけど、潤香が落ち着くまでひたすら我慢するしかない。 「ね、この格好のままでさ、胸掴んでみて……」 「胸?」 「そうすればさ、痛いの、少しマシになるかもしんないから……」 「あぁ……じゃあ」 繋いでた手のうち、片方を解いて胸に伸ばしてみる。 俺がさっき吸ってた時よりも先端は硬くなってて、指でつまんだり弾いたりすると 潤香の口から甘い声が漏れて小さく抗議してくるのがすげぇ可愛くてクセになりそうだ。 てか、コイツの口から「ダメ」とか「やぁっ」とかいうセリフ聞けるのが新鮮だった。 カールのロールからは考えられないような甘えた声だけに、俺も益々ヤる気になってくる始末。 「亮って、ホントはすごいエッチ好き……?」 「潤香がそーいう声、出すせいだろ」 「あたしのせい……?」 「いつもより、何かこう……エロくて可愛いから」 618 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15 57 36 ID c9CRcdlR 嘘じゃない。 今までだって心の繋がりみたいなもんがあると思ってた。 けど実際に身体で繋がってみると……やらしいとか以前に、コイツのこともっと好きになれた。 俺を想ってくれてる潤香に応えたいから、初めてだけど頑張ろうって気持ちになんだぜ? 「もう……カッコつけすぎ……。昔のあたしだったら、即PKしてたぞ……」 「ならPKKして返り討ちにしてやるよ」 「はは……きみにだったら、されてもいいや……何されても、許してあげる……」 俺もこいつも元PKK(潤香は更に前のバージョンの頃はPK)。 俺は三爪痕を探すため、コイツは自分の父親が作った世界を乱す連中を粛清するため。 目的は違うけど、俺達は似た者同士だった。PCのデザインも銀髪に黒コス……。 出会っちまったのは、必然的だった気もする。きっと揺光の紹介がなくても俺達はどこかで出会っていた。 「ん……もう、大丈夫っぽい……」 「ホントか? 無理してないか?」 腹の辺りを摩りながら、潤香はそう促してくる。 繋がって何分経ったんだろうか、時計を見る暇もなく俺達の逢瀬は続く。 もう春とは言え、まだ夜は冷える。あまりこの格好のままでいると風邪をひかせるかもしれない。 早めに終わらせた方がいいんだろうけど……。 「すぐに、射精しちゃダメ……溜めて、溜めて、溜めまくってから出さなきゃ……ね……?」 「(もう溜まりまくってんだけど……)」 カウパー出てた時点で察してくれ……。 でも中出しOKなら、俺だって潤香のリクエストに応えたい。 子宮の中、俺の精液でドロドロにしてこれでもかってくらいに喘がせたい。 普段はそんなコト考えもしねぇクセに、こういう時になると頭フル回転でそんなことを考えちまう。 いつもなら軽く俺をあしらう潤香が従順で可愛いせいで、俺も気分的にハイになってるのかもしれない。 「動いていいよ……。ね、腰掴んでさ、思いっきり突き上げてみて……?」 「お前、普段Sだけど……こーいう時はMなんだな」 「そうかな……? 亮がしたいようにすれば、いいと思ってるだけだって……。ね、早く……」 あんなに痛がってたのに、もう平気なのか? 女って生き物は男よりも好奇心が旺盛な傾向があるらしいから、潤香の場合は 突き上げる時の痛みすら興味対象なのかもしれない。 結果的に泣かせることになるかもしれねぇけど、本人がして欲しいって言ってる以上は断るのも酷だ。 「んじゃ……」 「! あっ、やっ……痛いけど……いぃ……! お腹の中、擦れて……やばっ、コレ、いいかも……」 軽く腰動かしただけで潤香は歓声をあげる。 荒い息遣いを繰り返しながら、俺の動きに併せて潤香も動く。 繋がった部分からヌチャヌチャって音がして、俺のカウパーだか潤香の愛液だか 分かんなくなったものが糸を引いてネバついてた。 少し上体を浮かせて、より突きやすい様に身体を動かすと、中で擦れて刺激になったのか 一際潤香の声が荒くなって、俺を掴む手に力が入ってくる。 口からだらしなく涎垂らすコイツの姿、最高にエロい。 「はぁっ、ぁぅ……亮、上手……っ!」 「そっか?」 619 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 16 00 21 ID c9CRcdlR 散々エロ動画見てきた潤香が言うならそうなんだろう。少し、自信ついた。 俺だってそーいうの見たことねぇって言ったら嘘になるが、とりあえず繋がったら 腰動かすことくらいは知ってる。あとはタイミング見計らって射精するだけなんだが……もう、いいだろうか? 「潤香、そろそろ……」 「出したい? せーし、あたしの中に、出したい?」 「あ、あぁ……」 挿れたばっかなのに、もう出すのかって感じだけど俺だって初めてだから そういうのも考慮してほしいワケで。断じて早漏ってワケじゃねぇぞ。 こうやって動かしてる間も潤香の膣がグニグニ締め付けてくるし、本当なら早く出してぇけど……。 「あっ! あっ、あぁぁっ、奥に当たっ……!」 「くっ、はぁっ……潤香!」 「イカされ……亮に、イカされ……あたしっ!」 「潤香、出すぞ……! 精子、出すからな!」 「いいよ、出していいから……孕んじゃうくらい、出していいから!」 今までにないくらいに潤香の膣内の締め付けが強くなる。 出し入れの感覚も短くなって、もうこれ以上我慢するのが無理だと感じた俺は 両手を潤香の腰に回して身体の位置を固定、そのまま突き上げながら潤香の望んだ通りに溜めに溜めまくった精液を注ぎ込む。 射精をこんなに長くしたのは初めてだし、こんなに気持ちいいと思ったのも初めて……やべ、これがイクって感覚…? オナ禁してたのも手伝って、いつもの倍くらいの精液が潤香の中に注がれてく。ホントにこれ、俺か? 何か、こんな時でさえコイツのこと可愛いって思える俺って、人間としてどうなんだろう。 「熱いの……いっぱい……全部、亮のせーし……?」 「あぁ……溜めまくった俺の精子、全部出した……」 「あたし……亮に射精されて……イカされちゃったんだ……」 射精の余韻が心地いい。あとは奥に流し込んだ精子が受精しねぇことを祈るしかねぇ。 潤香のことだから何も考えずに中出しさせるはずないしな……多分。 「ちょっと……残念」 「な、何がだよ」 「ホントはあたしが主導権握ってさ、亮をイカせるはずだったのに……。 『出したい出したい』って泣き喚く亮を、あたしが『まだダーメ』って感じで……」 おまっ、そんなコト考えてたのかよ……つくづく恐ろしい女だな。 「亮って童貞だったの?」 「あ、あぁ……つか潤香の方はどうなんだよ。初めてだったのか」 突くのに夢中で気づかなかったが、引き抜いた俺のには確かに潤香の血が付いている。 最も俺の精液と混じっちまったせいで妙なコントラストの色になっちゃいるが。 まぁ、潤香の性格からして他の男にヤらせるとも思えないしなぁ……。 「言ったじゃん、ギブアンドテークって。トレードみたいなもんだし」 「童貞と処女の交換ってか」 あれだけ可愛い声で喘いでたクセに、もういつもの潤香に戻ってやがる。 女って生き物はやっぱ分かんね……。つか、腰動かすのって結構疲れるな……今日は大学休みてぇ……。 「あたし、上手に出来てた? 亮のこと、気持ちよく出来た?」 「あれだけ射精させといて、よくんなコト言えるな……」 「だって亮のせーし、いっぱい欲しかったし」 「……」 620 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 16 02 27 ID c9CRcdlR 後日談【 継承~司からカールへ。カールからハセヲへ~ 】 「パパ、おっきい方のあたしとばっかり遊ぶの、ずるいよぉ!」 「あんたは昨日パパと遊んだじゃん! 今日はあたしがパパと遊ぶの!」 「お前ら……自分とケンカすんなよ……」 MOLGANAサーバーでの8日間が終わってから1年(最も、あの出来事はリアルじゃ数分の出来事だったが)。 何故かセグは消滅することなく《The World》に存在し続けていた。しかも2人。 カールによると「愛の奇跡が起こった」らしい。何のことかサッパリ分からん。 小さい方のセグと大きいセグ、見た目は違っても中身はガキだから気苦労が絶えねぇ。 今日も草原フィールドでセグ達の遊び相手してる(主に俺が、だけど)。 2人の娘に囲まれてカールは満足そうだが、遊び相手する俺は堪ったもんじゃない。 つーかお前ら、スケィスのセグメントなんだからバトルの時以外は出てくんなよ……。 「ほらほら、ケンカしない。家族なんだから」 「むー」 「ママ、だって!」 連日これだと頭が痛くなる。 一応、他のみんなにも事情を説明してカナードの@ホームに住まわせちゃいるが いつまでもあそこを託児所にするワケにも行かねーしなぁ……どうしたもんか。 欅に相談してネットスラムにでも引っ越すか? 「ママの言うことが聞けないの?」 「はう……ご、ごめんなさい……」 「や、やだな、ママ。本気にしないでよ」 とは言え、どっちのセグもカールには頭が上がらない。 この女は俺がセグ達に追い詰められるギリギリになってから助け舟を出しやがんだ、いつも。 さっさと助けてくれりゃいいものを……。こういう時だけは薄情なんだ、潤香は。 「じゃ、こうしよう。先にラッキーアニマル蹴っ飛ばした方がパパと遊ぶってことで」 「いいよ。絶対セグが勝つもん!」 「(ったく、やっと離れやがった……)」 セグ達から解放された俺は、どっと草の上に倒れこむ。 こりゃ育児ストレスで我が子殺しちまう親がいつの時代にもいるはずだ、堪ったもんじゃねぇ。 育児を頑張った褒美にカールが膝枕してくれなきゃ、キレてんぞ俺。 「お疲れ」 「カール、お前助けるならもっと早く助けろよ」 「あはは。見てて面白いから、つい」 あははじゃねぇだろ、あははじゃ……。 くそ、この笑顔に何度騙されたか知れねぇ。 「いつも@ホームに閉じこもってちゃ、身体に悪いからな」 「んなワケねーだろ。アイツらだって憑神みたいなもんなんだぞ」 「でもあたしときみの子供達だもん、だから可愛くて可愛くて」 可愛いのには同意だが、いつも遊び相手に付き合わされる俺の身にもなれ。 お前、そんなことしてたらいつか……俺の子供が出来た時とかどうすんだ? リアルとネットで同時に育児するハメになるぞ……分かってんのか……? 621 :名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 16 05 25 ID c9CRcdlR 「ハセヲ?」 「……」 「おーい、ハセヲ? ……亮? 寝ちゃった?」 「……」 へんじがない。ただのしかばねのようだ。……ってのは冗談。 亮も学校終わってから毎日ログインしてたし、疲れが溜まってたのかも。 やっぱ高校の時と同じ様にはいかないんだな……それはあたしも同じか。 「(しかし……2人のセグが消滅せずに済んだのは……やっぱり……)」 モルガナがあたしに復讐するために用意した無限ループの8日間のことはハセヲから聞いている。 ハセヲの話によると、タウンに現れた化け物の群れ―――クビアゴモラはクビアを母体としていたらしい。 あたし達がクビアを倒したことでMOLGANAサーバーごと消えたようだ。でもセグ達が消滅を免れたのは? MOLGANAサーバーが消えても、あの子達は存在し続けている。 管理者以外でこのゲーム内のキャラを存在を自在に操れる者がいるとすれば……それは……。 「あんたなの? ねぇ、アウラ……」 Δ 隠されし 禁断の 聖域。ハセヲはあそこでアウラに出会ったと言う。 あたしの最初の娘。黄昏を開く鍵(キー・オブ・ザ・トワイライト)。薄明の女神。 2人のセグは元々はスケィスを構成していたセグメント。 アウラにとっては同じ母親、すなわちモルガナから生まれ出でてた姉妹という解釈もできる。 だけど9年前に出会って以降、あたしはあの子に出会えていない。あたしの考えがハズれてる可能性もある。 司や昴にあの子の世話を任されたってのに、あたしは未だに母親としての役目を終えちゃいないんだ。 それは今でもあたしが背負った幻痛(ファントム・ペイン)。 『どうか、あなたにとって《The World》が何かの救い、あるいは慰めとなりますように』 これは9年前、司からあたしに送られた言葉。 最初は声を上げて笑ったこの言葉は、今ではあたしがこの世界で得た財産の一つ。 なったよ、十分に。あたしは救われた、あたしは慰められた。 この世界で、やっと信頼できる仲間を見つけられた。大好きな人を見つけられた。 司、あんたが昴とこの世界で出会えた様に……あたしも、顔も見たこともない父さんが作ってくれた世界で出会えた。 あたしの大好きな人に。ハセヲに。 「ねぇ、ハセヲ。 もし、あたしがアウラを育てることを最初から放棄していたら…… もし、あたしがスケィスにデータドレインされていなかったら…… もし、あたしが《The World》開発者の娘じゃなかったら……きみと、この世界で出会えてたかな?」 眠るハセヲは答えない。けどあたしは、答えが返ってこないことこそが答えだと思う。 手を伸ばした指先に触れた彼の頬は、とても軟らかい。これは、あたしにまだモルガナ因子が内包されている証拠。 今までのあたしは自分と他人を欺くことで、自身の保身だけを優先していた。 でも、今は違う。もう逃げない。寂しい時はちゃんと寂しいって言うよ。だからずっと一緒にいて。 きみを想うこの心だけは、本物だから。きみが最後までこの世界と関わろうと決めたのと同じように。 あたしもきみと一緒に歩くって決めたから。だから、この世界にとっての、もう1人の神に感謝を―――――――――。 「ありがとう……お父さん……」 今はまだ、旅の途中。 【 カールルート True End 】
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潤愛にょんとは、Twitterにてイラストを投稿している人物である。 正式名称は潤愛にょんチャン㌨!! 名前 コメント
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#ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 浅井家 宮部継潤 (みやべ けいじゅん) レベル 55 7体 職業 僧 合戦陣配置 浅井家・中後詰主将 戦闘開始時台詞 構成 名前 職種 レベル 初期付与 使用技 宮部継潤 棍棒僧 55 ▲ ▲ 天部光輪、僧兵連撃・改、完全回復、全体完全回復、蘇生・壱、魔の祝福・弐 浅井精兵 一刀侍 50 一所懸命、霧散霧消、沈黙の霧・壱、全体看破・弐、蘇生・壱 甲賀中忍 一刀忍 50 神力両断・改、瞬殺閃、手裏剣乱射、五連撃、土遁の術・極、水遁の術・極 殿原衆精鋭 懐剣陰 50 光芒・華、呪縛・参、結界・参 竹生島神官 宝剣神主 50 神風、神雷、詠唱の韻・極、神の加護・参 国友上級鍛治 鉄砲鍛 50 三段撃ち、陽動 伊吹山山伏 懐剣薬 50 防御呪霧・参、防御呪詛・参、全体治療・参、蘇生・壱 特徴・詳細 撃破すると磯野員昌、藤堂高虎、遠藤直経を弱体化 月ヶ瀬忠清、磯野員昌、藤堂高虎撃破で最大5体まで弱体化 武器が長柄系武器ではないため、紫電一閃は撃てない 部隊アイテム 宮部八角棒 ドロップアイテム 叡山金砕棒 武将列伝 土肥氏、孫八、善祥坊、中務卿法印。 近江浅井郡宮部の出身で、もとは比叡山の僧侶という。近江の戦国大名・浅井長政の家臣として仕えた。 武勇に優れた一面もあり、長政に従って織田信長との戦いで活躍したが、元亀2年(1571)10月頃に、横山城の秀吉の誘いにより織田家に降った。 そのまま、対浅井氏の最前線となった宮部に入れ置かれ、浅井氏滅亡後には秀吉の与力となる。秀吉が播磨に入国するとこれに従い、但馬方面の征服戦に従軍。但馬二方郡を領地として豊岡城に置かれる。その後は秀吉の弟である秀長の指揮下に入って山陰方面を担当。天正9年(1581)10月に鳥取城が陥落すると、城主として入城した。 本能寺の変後はしばらく毛利氏の押さえとして鳥取城に在住したが、天正12年(1584)の小牧長久手の合戦では、兵2500を動員した。その後に中務卿法印(中務省長官)に叙任されて、九州征伐の陣立書には「四千 宮部中務法印」と登録されている。天正17年(1589)時点で5万970石であろう。文禄2年(1593)には8万1000石であった。 豊臣政権下では重用されており、晩年は五大老に次ぐという地位にいた。 文禄5年(1596)、高齢を理由に子・長房に家督を譲って隠居した。 情報募集中! 名前 コメント
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#ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 浅井家 宮部継潤 (みやべ けいじゅん) レベル 55 7体 職業 僧 合戦陣配置 浅井家・中後詰主将 戦闘開始時台詞 構成 名前 職種 レベル 初期付与 使用技 宮部継潤 棍棒僧 55 ▲ ▲ 天部光輪、僧兵連撃・改、完全回復、全体完全回復、蘇生・壱、魔の祝福・弐 浅井精兵 一刀侍 50 一所懸命、霧散霧消、沈黙の霧・壱、全体看破・弐、蘇生・壱 甲賀中忍 一刀忍 50 神力両断・改、瞬殺閃、手裏剣乱射、五連撃、土遁の術・極、水遁の術・極 殿原衆精鋭 懐剣陰 50 光芒・華、呪縛・参、結界・参 竹生島神官 宝剣神主 50 神風、神雷、詠唱の韻・極、神の加護・参 国友上級鍛治 鉄砲鍛 50 三段撃ち、陽動 伊吹山山伏 懐剣薬 50 防御呪霧・参、防御呪詛・参、全体治療・参、蘇生・壱 特徴・詳細 撃破すると磯野員昌、藤堂高虎、遠藤直経を弱体化 月ヶ瀬忠清、磯野員昌、藤堂高虎撃破で最大5体まで弱体化 武器が長柄系武器ではないため、紫電一閃は撃てない 部隊アイテム 宮部八角棒 ドロップアイテム 叡山金砕棒 武将列伝 土肥氏、孫八、善祥坊、中務卿法印。 近江浅井郡宮部の出身で、もとは比叡山の僧侶という。近江の戦国大名・浅井長政の家臣として仕えた。 武勇に優れた一面もあり、長政に従って織田信長との戦いで活躍したが、元亀2年(1571)10月頃に、横山城の秀吉の誘いにより織田家に降った。 そのまま、対浅井氏の最前線となった宮部に入れ置かれ、浅井氏滅亡後には秀吉の与力となる。秀吉が播磨に入国するとこれに従い、但馬方面の征服戦に従軍。但馬二方郡を領地として豊岡城に置かれる。その後は秀吉の弟である秀長の指揮下に入って山陰方面を担当。天正9年(1581)10月に鳥取城が陥落すると、城主として入城した。 本能寺の変後はしばらく毛利氏の押さえとして鳥取城に在住したが、天正12年(1584)の小牧長久手の合戦では、兵2500を動員した。その後に中務卿法印(中務省長官)に叙任されて、九州征伐の陣立書には「四千 宮部中務法印」と登録されている。天正17年(1589)時点で5万970石であろう。文禄2年(1593)には8万1000石であった。 豊臣政権下では重用されており、晩年は五大老に次ぐという地位にいた。 文禄5年(1596)、高齢を理由に子・長房に家督を譲って隠居した。 情報募集中! 名前 コメント
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神楽坂 潤 2/3 空/CHARACTER/Female 【コスト】空空空 -倉庫番- 『神楽坂 潤』がフィールドに出たとき、あなたは山札からカードを2枚引く。 そのあと、手札からカードを2枚選び、そのカードをクラッシュする。 手札調整が付いてくるキャラクターだが2/3と中途半端。3域であることが重く感じてしまう。 また、手札枚数自体は減ってしまうので《桜羽 吉野》等と組み合わせたいところ。 構築でわざわざ使うかと言われれば難しいところである。 プロモーションカード-P-021 ベーシック-コモン